特別編「はやてちゃん、どうしたの?」
キャラ名を知らない人はここを見てからお願いね!
はやては本日、1人で研究室にいた。
何故かというと、本日同じ研究室のゆうこは書類をもらうために市役所に足を運んでいたからだ。
そして、はやては1日中ブルーな気分になっていた。
今までの研究生活があまりにもゆうこのフォローに頼りすぎていたのか、1人での研究生活態度の悪さをなぎさ先生にしこたま怒られてしまったからだ。
その精神的な影響からか、しのぶとも衝突してしまい余計に心が折れる。
ゆうこ「あ~・・。市役所めっちゃ混んでたなぁ・・・はやてちゃん帰ってるかな?」
家路へ足を進めていくゆうこ。家の近くで死にそうな顔をしているはやてを見つける。
ゆうこ「はやてちゃーん、お疲れー」
はやて「・・・・。」
声かけに応答することもなく、はやてはゆうこの方を見向きもせずに家へ入っていった。
ゆうこ「あれは普通じゃない。何かあったわね・・・なんか心配だなぁ」
スカートのポケットの中からスマホを取り出す。
ゆうこ「もしもし、たかひさ君?はやてちゃんがたった今帰ってきたんだけど様子が変だから家のドアの鍵開けてくれる?」
たかひさ「了解した。」
しばらくすると、ドアの鍵が開き、たかひさが出てきた。
たかひさ 「ゆうこ殿、何があった?」
ゆうこ「え?たかひさ君。あんた、もしかしてはやてちゃんが帰ったこと気づいていなかったの?」
たかひさ「今、電話で言われて初めて知った。」
ゆうこ「はぁ・・・どんだけ引きこもってるの。またなんか変なもの作ってたんでしょ・・・上がっていい?」
たかひさ「変なものとはなんだ。発明だ。上がることに関しては問題ない」
抗議するたかひさをよそにゆうこははやての部屋へと向かう。
ゆうこ「はやてちゃ~ん、あーけーてー」コンコン
返事がない。ただのしかばねのようだ。
しびれを切らしたゆうこが仕方なしにドアを開けると、電気がついておらず真っ暗な部屋の隅で体育座りしているはやての姿があった。
ゆうこ「おーい、大丈夫?」
はやて「・・・。」
しかし、まったく返答を返す様子はない。
ゆうこ「ちょっと?何があったの?どうしたの?」
だが健闘むなしく体をゆすってもまるで心を開かない。
ゆうこ「ちょっと!ああ、もう!しょうがないなぁ。」
はやて「・・・・。」
後ろから抱きつきながら、ゆうこが切り出す。
ゆうこ「ねぇ、はやてちゃん。ちょっとこっち向きなよ。」
はやて「なにもない、俺は大丈夫だ」
後ろから抱き着くゆうこから逃げ出し、へやの隅っこに体育座りをする。
その態度に少しばかり怪訝な表情をするゆうこ。
ゆうこ「はやてちゃん、本当に何もないときは私から逃げたりしないよね?本当に何があったの?話してみてよ」
はやて「わかったよ。ただ、別に心配するほどのことではないし、俺1人でも解決できる。」
ゆうこ「はやてちゃん、それは嘘だよ。君はすっごく嘘をつくのが下手。
そんなつらそうな顔しているのに解決できる!みたいに言ってるのちょっと空振りしてる感じすごいよ?」
はやて「もういいよ」
投げやりな態度に少しカチンと来たゆうこ。
ゆうこ「はやてちゃん、よくないから!! そういう態度取るなら私、もう研究室で口きかないからね? それはちょっと違うと思うなぁ」
はやて「いや、それは困る・・・」
想定外の反応を食らい、おとなしくなるはやて。
ゆうこ「はやてちゃん、君が本気で泣きそうなくらいに甘えたいときはいっつもそういうこと言うのよ。言葉ではそういってても、もう表情がいつもと全然違うの。研究を頑張っているときの君と全然違うじゃない・・・」
はやて「ごめん・・。ゆうに泣きつけるときはまだ動けるんだろうけど本当に駄目なときは自覚できていないんだと思う。そして周りが全部うるさいように感じるんだと思う。」
そういうと、ゆうこははやての後ろから抱きつき頭をなで始める。
ゆうこ「よしよし、ちゃんと言えてえらいえらい。そうか・・でも、今そうやって自覚できたじゃない・・。おいで♪」
そういうと、ゆうこははやてを抱きしめ頭を撫でる。
ゆうこ「はやてちゃんさ、強がるときはもう少し元気なときにしなきゃダメよ。」
はやて「ゆうちゃぁん・・・」
ゆうこ「しょうがないなぁ。はやてちゃん、こっち向いてよ。何があったの?もう、ボロボロ泣いてるじゃないの、ハンカチ使って。鼻水もすごいことになってるよ。ほら、ティッシュ」
はやて「うん。あじばどう(ありがとう)・・・ゆうちゃんの胸、あったか~い」
チーン! 強く鼻をかむ音が部屋に響く。
胸に顔をうずめるはやて。嫌がりもせず、そのまま頭を撫で続けるゆうこ。
ゆうこ「ったく、躊躇なく私のおっぱいに顔を当てるなんてえっち。あんまり甘やかしすぎちゃうといけないなとは思っているんだけど、こういうところ見るとほっておけなくてね。はやてちゃんはどうしようもないところもあるけど、基本は優しいしキュンとするような可愛いところもあるから・・・ね。」
はやて「ごめんね、ろくでもなくて。」
ゆうこ「もぉ。そんな自分を卑下しないの。ああ・・・はやてちゃんが泣きついたから涙で私の洋服がグシャグシャじゃないの。しょうがないなぁ。」
はやて「あ、ごめん・・・」
ゆうこ「いいの、はやてちゃんが元気になったなら私はうれしいな。」
頭を撫でながら何かを思いつくゆうこ。
ゆうこ「あ、そうだ。今日用事のついでに買ってきたおやつあるよ。はい、アーン」
チョコレートをはやての口に持っていくゆうこ。
はやて「うまい。おっぱいを味わうのは駄目?」
ゆうこ「はやてちゃん、メッ!だぞっ。さすがにそれは調子に乗りすぎだぞっ。」
はやて「厳しいなぁ・・。膝枕はダメ?」
ゆうこ「まったく君は本当にしょうがないな・・・。」
はやて「足がプニプニで気持ちいいなぁ・・すりすり」
足を躊躇なく撫でていくはやて。
ゆうこ「こらっ!えっち。あと、気持ちがいいのは分かるんだけど私としてはすっごい複雑な気分になるからプニプニはやめて」
気恥ずかしさで、ゆうこははやてにデコピンを食らわせる。
はやて「痛い・・・。ごめん、でも、さっきより気分がよくなった。ありがとう、ゆう。」
さっきより雰囲気が明るくなったはやてに安堵したゆうこ。
ゆうこ「よかったわ。安心した。でも、そんなに泣くほどつらいことがあったの?聞いてあげるから話してみてよ。」
はやて「まず、生活態度と研究のことで1時間くらいなぎさ先生にものすごく怒られた。あとはゆうのことを少し悪く言っていたからどうしても我慢できなくて少し反論したら鬼のように怒られた。だから俺はやっていられなくなって、廊下に消しゴムを投げたら偶然しのさんにぶつかった。面倒だったので半ギレで悪かったなって言ったらしのさんにも思いっきり詰められた。散々だった・・・、」
ゆうこ「なぎさ先生の件はまぁ、分からないわけじゃないよ。あの人、悪気はないし正しいんだけど結構言い方がきついし、私が甘やかしちゃってる部分あることは否定しない。つらかったよね。」
はやて「俺が怒られるのはどうでもいいけど、ゆうのことを言われたのがつらい。あと、俺だって全部サボっているみたいに言われるのが本当に嫌だった」
ゆうこ「よしよし、私のことそんな風に思ってくれてありがとう。私は研究に関しては君じゃないとできないところがあってそこは私も助けられているの。ありがとう。なぎさ先生も忙しい人だから全部は見れないと思うけど、ちょっとはやてちゃんはだらけるタイミングが絶望的に悪いかなぁと思うときもあるかな?」
話を聞きつつも、改善すべき点はやさしく諭すゆうこ。
はやて「確かに・・・あと、全体的にゆうに計画とか頼り過ぎててやべえときが・・」
ゆうこ「そこはもうちょっと頑張ろうね。ただ、なんとなくわかっていないみたいな感じだからそこは私もフォローするわ。」
はやて「ありがとう。ただ、しのさんにあの状態で胸倉掴まれたのはしんどかった。謝ったつもりだったけど雑だったのかな」
ゆうこ「消しゴムの件は完全にはやてちゃんの八つ当たりだし、それはしのぶ悪くないよね。そこは改めてちゃんと謝らないと駄目だよ。胸倉はちょっとやり過ぎだとは思うけど・・・」
はやて「正直、しのさんの件はちょっとまずかったとは思っている。もう少しまじめに謝りなおす」
ゆうこ「そうだね。分かってるじゃない。」
そして、はやてがあることに気が付く。
はやて「ありがとう。明日なんかあったような・・」
ゆうこ「ちょっと待って。論文の中間発表よ?」
はやて「助かった、昨日ゆうに見てもらってプレゼン作ってあってよかった・・今日の俺の状態ではどう考えても無理だった。」
緊急の予定に気が付き、青ざめたが作ってあったことを確認し安堵した。
ゆうこ「こればかりはちょっと私が計画立てて正解だったわ。昨日のうちに無理にでもやっておいてよかったでしょ?」
はやて「今日、ゆうが用事でいないからということも考えなくちゃいけなかった・・・流石だなぁ。」
ゆうこ「私も怒られちゃうからね。計画立てるの下手だけど、一回集中しちゃえば私より作業早いじゃん。」
はやて「明日仮病で休もうかな・・・それか、ゆうの膝枕の状態で発表する」
名案とばかりにいうはやてだが、即刻却下する。
ゆうこ「そこは頑張ろうか?私があなたのパートまで発表するとか思ったけど、それやるとなぎさ先生が絶対怒ると思うわ・・」
はやて「だめかぁ。だったら心が折れてしまっているという理由をつけて抱っこ状態+頭なでなででやらせてもらうように頼めない?」
ゆうこ「それもっと怒るパターンのやつじゃない・・・。31歳独身で婚活中の先生には目の毒よ?昨日のことも蒸し返されそう・・・」
はやて「頑張りたくない」
ゆうこ「じゃあさ、もう1回合わせてみようよ」ナデナデ
はやて「わかった、明日に向けて頑張る」
ゆうこ「よし、その意気だよ!」
そして、二人は発表のプレゼンを一通り練習した。そのあとはまた甘え、甘えさせあえの関係をずっと続けたのであった。