マイノリティ雑貨店

社会に関すること、自動車、発達障害などを扱うブログです。社会ブログなのか、車ブログなのかよく分からなくなってきました。

科学リテラシーを軽視しすぎるな!

ちきりん氏のブログで「下から7割の人のための理科&算数教育」という記事がいろいろ物議をかもしている。
理系のはしくれ(専門は生物・化学系)としての意見をここに示していきたい。

ぶっちゃけ、理科が苦手な人とかそういうのは一定数いると思うのは別に不思議なことではない。だけど、日本という国はあまりにも理科教育に関する意識が低すぎる国であることはご存じだろうか?正直、車や電化製品の技術の素晴らしさの割に国民の意識があまりにも低いというのは自分も感じていた。

内閣府が出している「国民の科学に対する世論調査」を見てみよう。

・科学技術についてのニュースや話題への関心
科学技術についてのニュースや話題に関心があるか聞いたところ,「関心がある」とする者の割合が63.0%(「関心がある」24.7%+「ある程度関心がある」38.3%),「関心がない」とする者の割合が35.6%(「あまり関心がない」23.9%+「関心がない」11.8%)となっている。
 性別に見ると,「関心がある」とする者の割合は男性で,「関心がない」とする者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。年齢別に見ると,「関心がある」とする者の割合は50歳代で,「関心がない」とする者の割合は20歳代で,それぞれ高くなっている。



関心がある人の割合自体はだいたい6割ちょっとなのだが、関心がつよいのが50代のおっさん世代の人に多い。実際、自分の周りの器用な50〜60代くらいの人は機械などに強い人が多く、技術を生かした面白い話を聞く機会としてはとてもいいのではないかと思う。町工場の社長なんかはかなりいい話題とか持っているので、もし有益なことを聞きたいなら尋ねてみるといいかもしれない。
主婦の人に物理の話とかをすると「あー!頭が痛い!」という確率は割と高い・・・・

・科学技術に関する情報の認知経路(平成21年)
ふだん科学技術に関する情報をどこから得ているか聞いたところ,「テレビ」を挙げた者の割合が87.1%と最も高く,以下,「新聞,雑誌」(58.8%),「インターネット」(21.8%),「ラジオ」(12.2%),「家族や友人との会話など」(10.1%),「書籍」(9.2%)などの順となっている。



番組で言うなら「ちょこっとサイエンス」「ほんまでっか!?」 「NHKの自然科学番組」「所さんの目がテン!」あたりだろう。結構、そういうところから知識を得ている人が多いので、TVで放映した次の日くらいにはそのことを意識してるくらいではないだろうか。だから、本を読みこんである程度詳しいというレベルの人っていうのはそこまで多くないということは想定できる。おそらく、ちきりん女史が学校で学びたい!とか言っているのはTVで話していることをそのままやってほしいということだろう。だが、それでは本質を理解するにはある程度の科学的教養をつけたとは言い難いということを付け加えておこう。
ある程度というのは、最低でも高校化学くらいまでの履修を学校なり独学なりで理解しているということだ。

たとえば、天ぷら油から火がでたら、水をかけるのとマヨネーズをかけるのはどっちがいいのか。なければケチャップでもいいのか?という質問は高校化学を少し超えたくらいの知識になってしまうが、「燃焼の3原理」「油の密度と水の密度」「火がつきやすい物質」などの知識や理解の感覚が身についていないといけないわけだ。
TV的な知識というのは、その場にすぐ適用できる美しい実学と言えば聞こえはいいのだが、それだとほかに関する知識もそんな風に覚えるだけなの?ということになってしまうわけだ。
学問に王道なし とはよく言ったものだ。

自分はちきりん女史が得意とする経済分野ではそこまで語れない。
なぜなら、背景となるための用語などがあまりにも分かっていない、現在の株の流れなどのイメージがつかめていないことだ。そしてあまりそういった分野の興味がそこまで強くないことであることもそう。
だけど、ちきりん女史の科学の苦手感(?)と違うのは、決して経済の勉強が無益だとは毛頭感じていないことだ。みんなが気にしている「景気」を語るには経済の知識は重要だからだ。だけど、そこまで深く踏み込めるといったような感じではない。

「一般の人々は科学の本質なんか学ばず、この便利なことだけ考えようよ!」なんていうのはちょっと無粋じゃないだろうか。
そもそも、今活躍している科学者というのは、よっぽど金持ちでない限り一般の人々の出身だ。
iPS細胞でノーベル賞をとった山中先生は両親が小さなミシン工場をやっていた家だそうなのでもともとの環境としては普通の小学生、中学生時代を過ごしていたと思う。だけど、同じ教育を受けながらもあそこまでの業績を残すことができたのだろうか。それは理科教育と生まれもった強い好奇心によるものだ。

確かに「理科嫌い」が強まっているのは間違いないが、理科教育をなくすことは、好奇心をもっていたとしてもその学ぶ機会を奪うことになるのだ。アインシュタインは大学時代、落ちこぼれだったかもしれない。だけど、いろんなことを知るために科学をじっくり学び、考えたのだ。今の学校教育で学んでいる科学はアインシュタインが高校・大学時代に学ぼうとしている知識とほぼ一緒のものだ。

ただ、今の世の中は受験により、ひたすら詰め込まされ、考える余裕や好奇心が
育ちにくいというのも事実だ。だからそういった過程で理科嫌いが増えているというのも分からないわけではない。その悪影響を受けた人が嫌々教えてしまう構造になっているというのもまずい循環になっている。

だから、技術者や科学者が科学・技術を学ぶことの大切さを発表する機会をおろそかにしない。そして、受験で科学を学ぶことが嫌になる構造をなんとかすること。義務感で学ばされるということは避けなければならないが、理科教育は全体としてある程度の教養を付けさせる必要はあると思う。オリンピックではあんなに騒ぐのに、ノーベル賞ではそれほどでもない。っていうのはそういう難しい問題がこの国で解決しなければならないことだ。
楽しく学べないという弱点はどうすれば解決できるか?