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自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

科学教育の問題は一枚岩じゃない

この前、ちきりん女史の話で物議をかもした科学・技術・理科教育の必要・不要論

「脱社畜ブログ」の日野さん、「雪見、月見、花見。」の雪見さん、「コウモリの世界の図解ブロガー」のコウモリさんなど数名のブロガーによる「意見のぶつかり合い」が起こっている。
もちろん、個人的に理科教育は必要であるし興味を持てばそれなりに教養が広まったりするのは確かだ。
それなりに教育しても全然興味持たない奴もいる。 どんな教育制度をやったって、興味のない人たちっていうのは一定数出てくるのは仕方がない。

だけど、今回問題になっているのは「関心のない層の割合が多すぎる」ということに尽きるわけですよ!
学校のクラスでたとえるなら、40人中の半分が「科学とかだるくね?」とかいっちゃってるような感じだ。
興味を持たせること、理科が得意な子や好きな子には「エリート教育」を行う。発想としてはいいと思うが、どうも国民と技術者側の熱意の違いがすごい。しかもエリート教育が行きすぎると余計科学・技術の関心の差が激しくなりすぎて悪循環になるんじゃないだろうか。

多分、この議論をこの話題だけでやると永遠に収束する気がしないので、多少方向性はずれてしまうことになるがもう少しマクロな目線で話していきたいと思う。今回話す、マクロな目線は社会構造や日本人の精神性などから掘り進めていく。

☆技術職が冷遇される国(社会構造、世間体と給料)
まず、一番でかい理科離れの理由ってこれじゃないだろうか。
技術者冷遇で一番ひどいといえるのが、青色LEDを開発した中村修二教授の裁判ではないだろうか。
詳細を書くと長くなりすぎるのでリンクを書いておく。→ 青色LED裁判雑感
なお、中村氏が青色LEDで賞を受けるまでは理科少年(小学生、中学生)は「オタク」みたいな扱いを受けていた傾向にあるようだ。(from なぜ、若者の理科離れか)
そして、工学関係の大学生が製造業を以前よりも志望しなくなった経緯があるという。
なぜかというと、メーカーなどで一生懸命働いていても、法学部を出て銀行マンやってたほうがいきなり取締役で上にくるのでとてもじゃないけどやってられないという背景がある。そして、技術職と金融職では給料がべらぼうに違う。離職率による環境のきつさを差し引いたとしても、生涯賃金はおおまかに2倍くらいは違うんじゃないだろうか。これでは本当に技術にたいして打ち込みたくても馬鹿らしくなる学生もいても不思議じゃない。だから、給料や世間体を選んで商社や銀行などを選ぶパターンが多くなる。
個人的な予想だが、婚活がもっと進んでいる今では余計その傾向が強くなっているんじゃないかと思う。弁護士や銀行マンって、女性受けが割といいから。
何?機嫌を損ねました? とりあえずこれ見てください。
夫が一生平社員じゃだめですか

周りの世間体に悩む奥様の話だ。個人的な意見としては「研究職」も「部長職」もどちらも必要だ。別にどちらが偉いという感覚は全くなく、やる仕事と肩書きが違うだけだ。たとえばパイロットと消防士、どっちも立派な仕事だと思います。世間体は前者がいいけど彼は火が消せない。価値は違うかもしれないけど、貶められるようなことじゃない。狭いコミュニティしか知らない人なんて気にするんじゃないよ。別にひもじい思いしてなくて幸せならいいだろ?って思う。世間体が大好きな人には申し訳ないけど、その狭いコミュで一番になりたいっていうならもう何も言わない。


工学離れに拍車をかけるように、工学としての代表である自動車業界などの製造現場では「派遣労働者」が増えている。これはどういうことかというと、正社員を雇わず目先のケチりを重視することだ。日本は食料自給率が40%で先進国最悪なうえ、エネルギー自給率は4%というほかの国からめちゃくちゃ頼っているニートに近い水準なのである。
日本が生き残るためにはエネルギーを輸入しないといけない。輸入とは店で言うならお金を払うことだ。
だけど、払うお金がなければ輸入することもできない。だから製造業で製品を作って収入を得るわけだ。
安い賃金で使われている派遣労働者は余裕のない状態で仕事をする。そこから出てくる製品は良い物を作りやすいだろうか? 割に合わない責任で一生懸命やろうと思うだろうか?

そう考えると、島津製作所の田中さんって幸せだよね。JAXAの人々も空気読まされることもなく、自由な雰囲気の中でやらせてもらっているわけだ。もちろん、開発などかなり大変なこともあるだろうけど日本の強みってそういうところじゃないか?「はやぶさ」という映画を見た人はどう思うでしょうか?
本来の議論からはずれているのだが、そういう背景のどこかに亀裂を入れない限り科学教育に興味を持てるような子供は減っていく一方だと思う。

ここでも少しは興味を持ってもらえるようにまた楽しい科学の話を持ってこようと思う。