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自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

コミュニケーション能力って処世術(優先)and仕事能力?

コミュニケーション能力がやたらうるさい。採用担当者が好む就活生の見本みたいな指標ってこれじゃないのかな?ということを見つけた。

前も紹介したが、「喋りたい若者たち 喋らせない大人たち」という本にまた面白いヒントを得た。
ちなみに、題名にandを使った理由は処世術を持っている「かつ」仕事能力を必要とするからだ。
今回話すのは、洋一郎という青年のことだ。彼は7社から内定を貰っていたようだ。都銀に内定を受けて決めようとしていた。だが、本当にそれでいいのかと悩んでいた。この人のタイプのように振舞えることが苦でなければいいが、そうでない人は過剰適応してしまうのでおすすめできない。(欺瞞的に生きられるスキルは先天的な要素が大きいこと、精神的に負担がかかるため。)
結局、彼は内定を蹴った。

もちろん、この話は内定を蹴れとかいう話ではないのでそこらへんは気をつけて読んで行ってください。
まず、企業ウケのいい性格や能力ってなんだろうか?いい記述を見つけた。

頭脳明晰にして、人懐っこい性格。常ににこやかな受け答えができ、感情的になることもありません。さらには、老練な政治家のように相手の心を動かす心地よい言葉を選択できる能力も有しています。洋一郎のことを悪くいう学生は皆無といっていいほどで、後輩たちからも慕われています。


特に、この部分は企業に好まれているのだろう。政治力がある性格といえばいいのだろうか。争いを避ける術をうまく身につけている(=処世術)。人当たりのいい性格であることは間違いない。

そして、大企業にいた彼の父親の言葉がまた重い。これは社会適応のためにいろいろ失わないといけないものが多いような気がする・・・・。少し分割しながら引用していこう。

「今は年功序列が崩れて実力主義時代が訪れたなんてよくいわれますけど、実力主義だろうと業績主義だろうと、上司がしかるべきポジションを与えてくれなければ部下は一歩も踏み出せないのです」


クラッシャー上司っていうのがいるが、こういった仕組みを利用しているのだ。
実力があっても発言権(=ポジション、肩書き)がないと受け入れられない。

「上司が(中略)部下の仕事の邪魔をしたら、業績目標なんて達成できるものではありません。誤解を恐れずにいえば、地位やポジションさえ与えられれば、よほどの木偶の坊でない限り、たいていの社員はそこそこの業績を達成できるものです。」


向き不向きはあるにしろ、サラリーマンは専門職以外、替えが効いてしまうということを言っている。独自の技術がないので倒産したらお払い箱だ。
彼のいう木偶の坊という人たちもいないわけではないが、ここ最近急に増えるということは到底考えられない。
島津製作所の田中さんみたいな人はそうそういない。
替えは効くのだけど、守らなければ生活ができなくなるから処世術を身に着けざるを得ない。でもそれでもドロップアウトしてしまう人は出てくる。大企業の社長はサラリーマン社長といわれることが多いのだが、こういう処世術からのし上がってきた人が出てくるのでなるべくしてなったものだ。
そして、洋一郎の父親は実力がどんなにあったとしても相応性がないと出世できないと言っている。おそらく、これが就職活動で企業が求める「コミュニケーション能力」というやつだろう。相手に沿った話ができるとかそういったもので言われることがあるが、自分としては日本企業が求めているものがどうもこのニュアンスに感じられて仕方がない。だが、この話をしてもコミュニケーション能力があいまいなものに感じてしまうのはなぜだろうか。言語化がまだ浅いのだろうか?

「(前略)相応性と学歴のある者のなかから運が巡ってくる。洋一郎には相応性がある。母親や教師が何をしたら喜ぶのか、瞬時に会得できる。あいつは友達に対してだろうと先輩に対してだろうと、その人が気分を悪くするようなことは絶対にしない。(中略)上司は洋一郎に運を与えると思います。そして、そこそこ仕事もできるはずですから出世もそこそこするはずです。」



会社だと「母親や教師」が「上司や取引先」に替わるだけだ。

気分を悪くしないということに重きを置くため、自分の主張はほどほどにしないといけないことになる。波風を立てず、仕事ができる前提にしなければならない。

上司のメンツはつぶさないという変な気づかいで成り立っている世界なのだろう。
おもてなしなのか知らないけど、なんかこのやり方って実力発揮できないんじゃないかなと思う。
今の情勢から考えると悪い意味で、日系パワハラさんの上司みたいな人がすごしやすい世界なのかもしれない・・・・