マイノリティ雑貨店

自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

「よくないこと」と「法律違反」の境界

みなさんはこの境界線に悩んだことはないだろうか。これ、やっちゃっていいレベルのことだろうか?とかそういうことだ。

労働者を食い物にするような会社は潰しても仕方ない〜「ダンダリン一〇一」原作者・田島隆氏×POSSE代表・今野晴貴氏対談

自分はドラマをまったく見ないのでダンダリンの内容とかそういうことはほとんど分からない。だが、この対談の最後のページには考えさせられるようなことがあった。ブラック企業は確かに悪いのだが、悪さの程度がどこまで社会に悪影響を及ぼすかということについての視点を考える必要がある。

私は「ブラック企業」の定義はなるべく小さくすべきだと思っています。というのも、ブラック企業は「ちょっと違法なことをしている企業」というレベルではないからです。だから、私が経営者団体などの勉強会でブラック企業の実状をお話しすると、実は、「さすがにそれはまずい」「そんなことまでやってたのか」となります。



あれも違反、これも違反!じゃないけど、そんなことばっかりやってると取り締まりだけが目的になってしまって本来の労働環境をよくすることを忘れる可能性が大きくなる。これでは本末転倒だ。さて、自作したこの表を見てほしい。なんとなくイメージをつかめてもらえるはずだ。(図がなくなりました、ごめんなさい)


えらいカラフルな状態になっているが、大まかに分けるとこの4つのタイプに分けられる。実際には合法度や社会全体の得になる度合いが違うので明確にここだ!と分けるのは難しいかもしれない。

①緑色の部分(社会全体として得になり、合法)
ここはいうまでもなく物事を進めることができる状態だ。法律の規制も行動する範囲で妨げになるようなことはまずないし、この行動により社会全体としてよい方向に向かうことが期待できる。

②青色の部分(社会全体として得にはなるが、違法)
これは、新規参入が難しい業界によくある状態だ。新しいサービスを作りたいが、国が許可してくれない。みんなは望んでいて需要はある。だけど、法律や責任者の承諾の問題があるため手続きを進めることができない状態だ。本人の交渉次第で緑色の部分にスライドすることが可能だ。あとは、本当は駄目だけど臨機応変な対応としてのやり方もここに入る。

③茶色の部分(合法だけど、社会全体として悪)
誰も望んでいるようなことではないが、法律上許されてしまうような悪いこと。たとえば、36協定を結べば実質長時間労働をさせてしまえる状態みたいなことを指す。あとは、国民の収入が増える見込みが少ない割に、消費税をアップした今みたいな状態もそれにあたるのではないか。コミュニケーション系のいじめもここの領域。

④赤色の部分(違法な上に社会全体として悪)
麻薬、殺人など誰が聞いても違法だと言えてしまうこと。また、自分の利益のためになにが起ころうと知ったこっちゃないと違法を堂々と犯す人たちがここの領域。ある意味開き直りすぎていてすがすがしい。下手すると被害者面している場合もあるので気を付けてください。

今野氏は③と④について話しているが、③の範疇をもう少し狭める必要があるということを言っている。③の中でも限りなく④に近いようなこと、④の領域に完全に入り込んでいる状態を厳しく取り締まる必要があるということだ。③の中にはただの不満になってしまうレベルのことも含まれているので、どこまでが本当にまずいのかを見極めなければいけない。

例えば、残業代不払いがあろうと多少有給が取れなかろうと、昔は年功賃金、終身雇用でしたから、それほど不満がでてこなかった。中小・零細企業であっても社長とウマさえあっていれば、そこまでひどい条件になることはありませんでした。そこを外れると悲惨なのですが、それでも転職していくので中小・零細企業離職率は昔から高かったわけです。そういった状態でも「ブラック」とまで呼ばれることはなかった。

じゃあ何故今こんなにブラックという言葉が出てきて広がるのか。それは将来に対して何の見込みや条件もないのに死ぬほど働かせる企業が出てきて、そこに新卒でつかまったら最後だからなんです。大卒の1回しかないチャンスをめちゃくちゃに潰されてしまう。こういう事例が大量に生まれてきたから、就活生の間で「ブラック企業」という言葉が広がったんです。まずそのことを問題にしなければいけません。
また、理論的には、日本型雇用や企業別労組の問題があって、それが悪化した結果「ブラック」が出てきた。終身雇用や年功賃金への「信頼」と引き換えの過剰な命令が、今や信頼を「悪用」し、使い潰すために用いる

という構図があるからです。
なので、まずは、「新卒を使い潰す」という、狭い意味でのブラック企業をなんとかしなければいけないけれど、その先には日本の労働市場、雇用システムを改革する必要があるよね、という風に話が進むわけです。


分類としては④に近い③の領域の話になる。企業によっては④を堂々と行っているバカもいるわけだ。労務管理はできていなかった認識はないとか言ってるやつとかね。
田島さんのこの言葉は非常にわかりやすかった。

道路交通法に違反してもよいというわけではありませんが、先ほどの道交法の例え話しでいうと、速度制限50kmのところを51kmで走っていたら違法は違法ではあるものの、それをブラックドライバーなどと呼んで特別視する必要があるのかということですよね。1kmオーバーのドライバーも、酒に酔って何十kmもスピードオーバーをしたドライバーも一緒くたにしてブラックと呼ぶのではなく、まずは、酒に酔って何十kmもオーバーをしたドライバーをブラックと呼んで区別しましょうということなんですよね。
それを一緒くたにしてしまうと、悪質ドライバーまで1kmオーバーのドライバーにまぎれて、「道交法なんか、皆守れない」だとか「結婚式の帰りに飲んで運転するぐらいは仕方ないじゃないか」と言いはじめる。それを許しちゃいけない。真っ当なドライバーが1kmの速度超過するのと、酒酔い運転で何十kmもスピードオーバーするのとでは、非難の本質が違うわけですからね。



田島さんは④の真っ赤な領域に突っ込んでいる人たちのことを話している。51kmのドライバーというのは②の領域に入るので、社会として害悪!といえるレベルではないのだ。交通マナーでは「流れを読む」という言葉があるが、邪魔にならないように誤差範囲は目をつぶることで秩序を保っているのだ。よくいえば、臨機応変の領域に入る。むしろ、道路上では�@に近い。合法だけど国道を20km/hで走る軽トラのじいさんは③の領域じゃないかな?渋滞の原因です。麻薬を吸ったり、酒飲んで運転してひき逃げをしたやつは④です。

この違いを区別することによってどのくらい悪いことなのかを実感しなくてはいけない。大まかに線引きをしてそこから「何が悪いのか」を分析する。ブラック企業の問題が錯綜するのはその順番が逆だからじゃないだろうか?そういう自分も気をつける必要がありそうだ。