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自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

シルバー人材センターと「男は働き続けるという価値観」

・シルバー人材センターとは? そして、男性特有の労働価値観

シルバー人材センターとは、定年を過ぎた高齢者が仕事をする派遣センターのようなものだ。ふと考えてみると、周りの草をきれいにしてくれるメリットとかはすごく大きいのだが、その横でもうひとつ考えなければいけないことがある。

 それは「男=働き続ける」の強すぎる価値観を悪い意味で長引かせるんじゃないかということだ。派遣形式(請負?)とはいえ、既存の組織に従属し続けることになる。

 


田中俊之さんインタビュー 「男性学」が読み解く「働く男のしんどさ」とは?働き方の変革は、企業にとっての「リスクヘッジ」 - 『日本の人事部』

 

・そもそも、引退を考えていない層がいると思う

シルバー人材センターとは直接関係のない話になるのだが、働き続ける価値観という共通項の考える材料としてはとてもいい。

実を言うと、シルバー人材センターのもうひとつの側面を考えたきっかけになったのが、この記事である。

女性は女性で、競争したくてもさせてもらえない、いわゆる「ガラスの天井」的な差別がありますが、会社で頑張っても偉くなれないなら、辞めて留学するとか、大学院に進むとか、趣味に生きるとか、けっこう仕事以外の選択肢が採れるんですね。男性には、それができない。「男がフルタイムで働いていないなんてとんでもない」という社会的な“脅し”が効いているために、違う生き方を選べないんです。仕事中心以外の生き方をイメージすることさえ難しい。でも、仕事にはほとんど定年退職があり、男性も最終的には家庭や地域に帰ってこざるをえません。

 

 経営者や、織物工業、熟練を要する技術関係(溶接、旋盤、板金など)の仕事では70を超えても現役で仕事をしている人たちがいる。原因としてはもらえる年金が安すぎて、とてもじゃないけどそれだけで生活できないという経済的理由もある。でも、それだけで考えるには仕事が好きな割合がいささか多いような気がしてならない。

 

とある高齢者の話を聞いたのだが、「仕事をしているほうが暇じゃなくていい」ということをいっていた。また、家にいても妻とに話すようなことがないそうだ。

そんな状態なら、シルバー人材センターで仕事でもしてた方がいいや・・・ということらしい。定年を過ぎても、「仕事をしたい」ということが若干あるようだ。

 シルバー人材センターは年金の足しとして働くという考えの人が多いため、給料は安くても問題ない。そうすると、雇用する際の人件費は安く押さえることができる。

 

雇用コストが安いなら、請負元の人は被雇用者を場に所属させるということにためらいを感じない。ましてや、企業で仕事をしてきて経歴も多い。だから、採用をすることをどんどんしたがる。

そんな状態なので、若者が仕事についていないということが信じられない。「採用枠がそもそも足りねえから、受からん」と言われても、まるで実感がわかないのだ。

自分たちは若い頃から採用も割とされたし、転職があっても、長い間会社組織というものに在籍できてきたから。

・働き方を考え直す=社会に文句を言う甘ちゃん?

もっとも、一般的には組織階層の上へ行くほど、働き方の見直しやワークライフバランスに強い拒否反応を示す世代の男性が多いのも事実です。“自分たちは家庭など顧みずに頑張ってきたんだ、そんなことをいうヤツは甘い”というわけですね。先ほどの“見栄”とも通じるのですが、そこには、他人を否定して自分をすごいと思わせる意識が感じられます。裏を返すと、それは、自分が今までやってきたことに本当の意味での誇りやプライドを持てないからではないでしょうか。働き方の見直しを認めると、自分が否定されたような感覚に陥ってしまう。だから価値観の違う他者をさげすんだり、見下したりするんだと思います。僕は、男性がそういう偏狭なフレームワークから抜け出し、お互いの多様性をより認めあうきっかけづくりとして、男性学の発想を広めていきたいのです。

・パワフルな人たちは状況を変えたくない?

高度経済成長期のガムシャラな働き方は、熟年離婚とかの負の側面を生み出してきているのだが、「儲かっているから」みたいなことでお茶を濁している状態だ。

ちょっと前に、営業職の採用ブースに行ったことがある。そこの企業は、3年目から歩合制の営業形式をとっていた。当然、基本給がダダ下がりになるのだが、ノルマをたくさんこなせば年収1000万も夢じゃないとかそういうことを言っていた。

採用担当が「俺は頑張って、ノルマこなしまくって、でっかい1000万の家を買った!」とか言うのを見ていると、こんなのに巻き込まれたら冗談じゃないと思い、辞退した。確かにすごいとは思ったけど、こういうフィールドでしか活躍を認めないという価値観はどうも苦手だ。

当事者がパワフルならそれも問題ないのだが、全員がパワフルという前提で物事をやっているのが問題なのだ。(金融とかは構造上そうなってしまうので、個人的に言わせてもらえば世間体や見栄だけで行くのは本気でお勧めしない。)

逆に言えば、日本人ってパワフルな人多いのかもしれない。それか、無理やりパワフルを装っている人もいるのかな?

伊藤洋志さんの「非バトルタイプ」をうまく排除するような形に市場が回ってしまっているのだ。そして、排除された人はあまりにも目立たない。だから、日本の職場はパッと見、問題ないように見えてしまっている。

そして、田中先生の「リスクヘッジ」の話をちょっとだけ見てみる。

企業が社員の働き方を見直したり、多様性を認めたりすることは、要するに企業の社会的責任の問題であり、もうかる、もうからないとは別の次元の話です。目に見えるメリットやインセンティブがなくても、企業の責任として早急に進めなければなりません。そうしないと、日本の社会がもう持ちません。大げさでなく、僕はそこまで来ていると思っています。

 よくもわるくも、企業は利益を3ヶ月単位で追従するため、短期的に儲ける方向に話が行くのはある程度しょうがない側面もある。ただ、もうここまで問題が出てしまっていると、働きやすい状態を整備しなければいけないのは確かだと思う。それを阻害しているのが、本来の働きやすい状態に変えようとすることを「利益を出そうとしないお前は甘えている」という厄介な勢力だ。

 

その勢力に問題意識を植え付けようとしても、「問題ないだろ」という姿勢で耳を貸す気がない。「受け入れたら負けだと思っている」という名言ができそうだ。

シルバー人材センターは、年金という財源が少なくなっている以上、決していらないというわけではない側面はある。だが、今までの「会社員信仰」の感覚をしばらく引きずるようなきっかけになってしまうということをある程度認識していただきたい。

自分はこうやって元気に働いている高齢者を責めるつもりはないし、そんな権利もない。むしろ、そういった面ではいいと思っているんですよ。

だけどね、もうそこまで会社員として働けるという状態が崩壊しかけていることに対して耳を傾けるくらいのことはしてほしいと考えている。戦いきれなかった人へ、私情による攻撃を与えるのをやめてくれるだけでいい。