はやてとゆうこ 12話
みゆきが料理をしているところに、夫であるきょうへいが草刈機のエンジンであるくるるんと一緒に来た。
きょうへい「みゆたん、暇だよー」
みゆき「もう・・きょうちゃんったら。料理の邪魔しちゃいや。」
くるるん「ゆうこちゃんのお父ちゃん!なんで僕を連れてきたんだ!?」ブルン
きょうへい「だって、しゃべるエンジンなんてすごい面白いじゃないか。」
みゆき「捨ててらっしゃい。」
くるるん「ちょっと待ってよ!そもそも僕は人の草刈機にしのぶお姉ちゃんのシチューをかけられてこうなっただけなのに・・」
みゆき「難儀だねぇ。ところで、あんたは名前あるのかい?」
くるるん「しおりお姉ちゃんとゆうこちゃんがくるるんって名前にしてくれた。」
きょうへい「娘たちの名づけか。それはいいな。」
みゆき「ということは、たかちゃんがゴミから拾ってきたわけじゃないの?」
くるるん「そう。もともとは3軒隣の人の草刈り機だったんだけど、返そうとしたら喋られると使いにくいからってここの家にいることになったんだ。」ブルン
きょうへい「なんだか、良くわからないな。でも、俺にはみゆたんさえいればいい。」
みゆき「もう!うれしいこといってくれるじゃない。」
くるるん「バカップル?」
呟いたときに、しおりとゆうこ、はやての3人が買い物から帰ってくる。
はやて「やばい、腕が死ぬ。あんたらどんだけ荷物持たす気だよ・・・」
ゆうこ「ご苦労さん☆」
しおり「はやて君、助かりました。たか君も本当は連れて行きたかったのですが、寝てしまっているので無理に起こすのもあれでしたし・・・」
みゆき「ねえ、きょうちゃん。ごほうびに・・・」
しおり(またあの2人は・・・まぁ、仲がいいだけいいでしょう。)
くるるん「助けてしおりお姉ちゃん!ゆうこちゃんのお母ちゃんに粗大ごみにされそう!」
しおり「まぁ・・・。それは大変なことですねぇ。ちょっと、お母さん。くぅちゃんはいろいろ事情が面倒なので、捨ててあげるのはかわいそうですよ?」
みゆき「もう、きょうちゃんったらそんなところ触らないのっ♪」
きょうへい「顔面エアバッグたのしすぎ」バフッ
ゆうこ「はぁ・・・お父さんはいい年してなに人の胸に頭をダイブさせて遊んでるのよ・・・馬鹿じゃないの?」
しおり「それをはやて君の行動で言えば、ゆうこちゃんの立場はまったくないですけど・・」
ゆうこ「うっ・・。やぶへび」
はやて「それだと俺がまるで馬鹿みたいじゃないか。」
しおり「違いますか?」
はやて「この人何気にひどいんですけど」
ゆうこ「ごめんね、はやてちゃん。私が甘やかしてる分あれなんだけど、擁護できないわ。それより、お母さん!!とりあえずしぃちゃんが何かいってるんだけど!」ツンツン
みゆき「もう・・うるさいなぁ。で、どうしたの、しおりちゃん。」
しおり「もう一回いいますけど、くぅちゃんはいろいろ事情が面倒なので、捨ててあげるのはかわいそうですよ?」
みゆき「でも、餌代とかどうするの?」
くるるん「大丈夫!僕は燃費もいいし、いろんなお手伝いするよ!25ccだけど、頑張れば1馬力出るよ!」ピョンピョン
みゆき「ねぇ、くるるんちゃん。かわいらしいけど、床が痛むからピョンピョンするのは外でしてね。修理代払うの、私なんだからね。」
しおり「お母さんを見てると、たか君を同じ感じにしてしまいそうです・・・」
ゆうこ「大丈夫だよ、お父さんでも娘2人をトラブルなく育てたんだから!」
きょうへい「なんだろう、しおちとゆうこに皮肉と変な励ましをもらったんだけど。」
はやて「甲斐性な・・・うぐっ!!」
ゆうこ「はやてちゃん、それ以上いけない。お母さんを下手に刺激しないで・・・」
しおり「しーっ!はやて君!下手に夫婦喧嘩なんか起こされた日には・・・」
はやて「なんかよく分からないけどやばいのは分かった。」
くるるん(ゆうこちゃんのお母ちゃんってそんなに怒らすと怖いのかな?)ガタタタ・・・
ゆうこ「くるるん君!あんたアイドリングが落ちてノッキングしてるよ!」
くるるん「うがあ!危ない・・考えごとにふけりすぎてエンストするところだった・・・」ブルーン!!
はやて「やたら吹かすからガソリンくせえ!」
しおり「あれ、くぅちゃんってエンジンOFFでも動けるんじゃないですか?」
くるるん「燃料1滴と意識さえあれば動けるよ。たけど、エンジンOFFの状態だと馬力は下がるけどね。」
しおり「そこらへんのエネルギーの話はともかく、必要のないときはエンジンは切っておかないとガソリンがすぐになくなっちゃいますよ?」
くるるん「そうかぁ・・そうしようかな・・」プス・・・
みゆき「まぁ、そんなにしょげないで。別に捨てはしないよ。」
くるるん「やったー!」ピョン!
みゆき「だからやめてー!」
しおり「お母さん、いいにおいがしますね。」
みゆき「うん、今ねソーセージを焼いてた。作っている途中にきょうちゃんが抱きついているからやりにくかったけどね。」
しおり「お父さん、料理の邪魔をしてはいけません!何回いったらわかるんですか?」
きょうへい「しおち・・厳しいなぁ・・・」
ゆうこ「いや、厳しいとかじゃなくて純粋に危ないんだけどね・・・」
はやて「おじさん、相手が悪すぎるよ・・・」
しおり「お母さんもお母さんですよ?甘やかしすぎですっ!」
はやて「姉妹からの集中攻撃をくらいすぎていて心のダメージが深刻な気がするのは俺だけだろうか?」
ゆうこ「ちょうどバランスが取れていいんじゃないの?」
きょうへい「そんなバランスとらなくていいよ!俺の心がえぐられるわ!」
みゆき「よしよし、そんなにへこまなくていいよ。」
しおり「ふぅ。もう諦めました。」
くるるん「ゆうこちゃんの家っていつもこんな感じなの?」
しおり「いえ・・・さすがに毎日ではないですよ。お母さんは社長なので、仕事が入ってきたときはお父さんに対してものすごくきつめに当たりますけどね。落差がひどくて・・・」
きょうへい「みゆたん、キレると怖いよ・・・誰か、社長モード封印して」
みゆき「落差を楽しむのもまた人生♪ね、きょうちゃん!」
くるるん「バランスとか関係なしにつっこみどころが多すぎてもういやだよ・・」
ゆうこ「しぃちゃんの料理モードとお母さんの社長モードって絶対遺伝だと思うなぁ。」
しおり「そういえば、ゆうこちゃんはそんなに豹変する感じ、ないですね。」
はやて「いやいや、しおりさん、わからないぞ。満月を見ると・・ワオーンって」
ゆうこ「ならないからっ!噛み付くよ?」
はやて「なんだよ・・せめてサキュバスくらいには・・」
ゆうこ「そんなこと言ってばかりいると吸い取るよ?」
しおり「ゆうこちゃん、ここにハリセンありますけど使います?」
ゆうこ「いや、もういいわ。腱鞘炎にはなりたくないし、だいいちタイミングが遅いわ。」
みゆき「これ、私の会社からもってきたでしょ・・・返してよっ!」
ゆうこ「そもそもなんでお母さんは持ってるの!?」
きょうへい「結構痛いんだよ、それ。ほかに鞭とかもあるよね。」
みゆき「きょうちゃん、それ以上はいわない方がいいよ?」
くるるん「一歩間違えれば、こういうバーがあるよね。」
みゆき「たかちゃんに頼んで一杯泥水をガソリン代わりに入れてあげようかな☆」
しおり「お母さん、そろそろいろんなところに対する脅迫はやめませんか?」
みゆき「ふふふ、そうね。」
ゆうこ「私はこれじゃ、ツッコミ専門ね。・・うぐっ!?」
くるるん「うわっ!はやて君がゆうこちゃんの口にソーセージをつっこんでいるよ!」
みゆき「その表現は言葉足らずだからやめて!」バシーン!
派手にハリセンの音が聞こえる。
しおり「くぅちゃんはメッです!余計なツッコミを入れちゃだめですっ」
くるるん「おこられた・・・」
ゆうこ「ひょっほ!あふい!あふい!(ちょっと!あつい!あつい!)」
きょうへい「太めのやつがつっこまれて・・」
みゆき「きょうちゃん?」
きょうへい「ごめんなさいごめんなさい頭に爪を食い込ませないで」
はやて「うまいですか? あれ?」
ゆうこ「ねぇ、はやてちゃん。どういうつもりかな?」モグモグ
しおり「自業自得・・・」
ゆうこ「くだらないことをしてるんじゃなーい!」
はやて「ツッコミ専門だからあえてつっこんでみた。」
ゆうこ「せめて言葉のツッコミにしなさい。はやてちゃん向きじゃないけど・・・」
みゆき「はやてっち、あんまりふざけてると承知しないよ?」
ゆうこ「ったく、口をやけどしちゃったじゃない・・・はやてちゃんのせいだからね!」
はやて「それはごめん。」
くるるん「おなか減ったなぁ・・・」
みゆき「あんだけアクセル吹かしておいて何を言ってるの・・・・」
はやて「さて、残りのソーセージは・・4つか。と思ったらゆうに食われた。」
ゆうこ「しょうもないことした罰。これでチャラ。口の中がまだ痛いんだけど。」
みゆき「これで許してくれる人を大切にしなよ?はやてっち。」
はやて「あ、うん。」
しおり「もう・・はやて君?ゆうこちゃんを困らせてはだめですよ?」
くるるん「はやて君、帰りたい!キャブの調子をたかひさ君に見てもらいたいんだ。」
はやて「そうなのか。ゆう、すまんかった。」
ゆうこ「もういいよ。それより、くるるんの調子が悪いの?」
はやて「さっき、考え込んでいるときにエンスト手前だったからね。」
ゆうこ「そういえば、そうだったね。」
しおり「結構使い込んでますからねぇ。そういえば、私のセレナも車検でした。」
はやて「そうなのか。まぁいいけど、帰るわ。」
ゆうこ「じゃあねー」
修理に出すため、くるるんとはやては帰宅せざるを得なくなった。