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自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

アルトターボRSは3ペダルMTも用意すべきだったと思う


アルト ターボRS 主要諸元 | スズキ

今年の3月、スズキでアルトターボRSという軽スポーツカーが発売された。

いろいろ見ているとポテンシャルを秘めていると思える感じのものばかり。ただし、ある一点をのぞけば。

そう、3ペダル式のMT車の設定がないんですよ。

これから出すのかもしれないけど、ガッカリしたユーザーの人もいたんじゃないかと思うんだ、これが。

この車のトランスミッションは5AGS(5 Auto Gear Shift)というシングルクラッチ式のセミマニュアルだけなのだ。

別にこのトランスミッション自体の批判をするつもりはない。

「変速はやりたいけどクラッチはイヤ」とか、「背の低いターボが出たから加速や軽さ、スポーツとして固められた足回りを求めてDだけで走りたい」などの意見があることは重々承知している。

昔のアルトワークスだって、平成ヒト桁くらいになれば3ATのグレードも用意されているからそういうことは別になんとも思わない。Keiワークスのオートマに乗っている人がいて、乗り味を純粋に楽しんでいるパターンも知っている。

 

それをふまえてあえて言わせてもらうと、なんでベースグレードにはついていて、スポーツ!とか言っているこっちには設定がないのか?

しかも、ふざけていることに設定されているのは最低グレードだけという扱いだ。アルトバンみたいなシンプルな装備を極めた車はまた別に面白さがあるけど、関係ないから今回は言及しませんよ。

ただ、いらつくのは「こういうタイプのMTは年寄りしか乗らない」な出し方はやめろよってこと。アルトやミラのMTファンは少ないながらも一定数いるんだぞ!

 

ノーマルのアルトからお話しすると、あれには乗用と貨物(要するにバン)の2タイプがあるわけね。 乗用はCVTが上の方のグレード、5AGSと5MTが最低グレードだけに設定されている。そして、なぜか5MTだけエンジンのパワーが落とされている。

このやり方に、すごく意図的なものを感じるんだよね。

バンのグレードは1個だけ。5MTと5AGSのみ。CVTはない。実を言うと乗用5MTのエンジンとバングレードのエンジンのパワーが共用されている。

「MTは採算取れないから5AGSで駆逐しちゃえ」って感じがよく見える。確かにセミオートマの車を安価に作れたということは評価したい。AT限定の人でも運転できるような工夫をしたという点ではいいと思います。

そこで言いたいのは、この小排気量の車で完全に3ペダルを排除する意味はあんまりないと思うのも確かだ。

アルト系のクラッチやシフトは軽くて扱いやすいので、それを通勤やドライブ中におもちゃ感覚でいじりたい人がいる。要するに、変な話だけど「無駄な操作」自体を楽しんでいる層をないがしろにしていませんかね?ということ。

そして、その思想がRSターボのやり方に明らかに影響しているからまずいんだよ!ということも言いたい。GT-R(R35)のDSGのマネゴトなのか知らないけど、発想がそもそも違うんじゃないんですか。

アルトのターボ系の発想は小さな車でもキビキビ走らせるかつ、町乗りでもある程度扱いやすい馬力。それに付随するシフトやクラッチの操作などが楽しい。これこそが本質だと思うんだ。

 それに対して、GT-RのDSG一本化はまだ合理性があるような気はする。

ノーマルで最大550ps、最大トルク64.5kgf・mを出すような頭のネジが外れたようなV6ターボエンジンに対して、設置されるようなMTのクラッチペダルの重さは確実にスーパーカーみたいな感じになるのは想定できるのではないだろうか。

そんなシビアすぎる車でうっかり、半クラを高い回転数でつなごうものなら前の車につっこむなんていうのが当たり前の世界になる。渋滞できついってレベルじゃねえぞ!

それと、サーキットへの対応を求められるゆえに変速操作を素早くしたい。そこで、精密なコンピュータ制御によるDSGのコントロールを前提として、人間のクラッチ操作より素早く正確に行えるというレベルの話で行われているのだ。もう、これは公道を走れるF1もどきと言っても過言じゃないものだ。

じゃあアルトターボRSにそんなシビアな要素や制御はあるのかい?と聞けば即座にNOと答えるよ。だって、速いとはいえあれはあくまで乗用車にスポーツ感覚を重視したってコンセプトだ。だからサーキットなどのタイムだけを縮めるためのものじゃない。言い換えれば馬力が無茶すぎないから街中でMTを楽しめる余地がある車なんですよ。だからこそMTを排除してしまったのはちょっとどうなの?と思ったところなのだ。

気がついた方もいると思うが、アルトワークスのコンセプトのスケールをそのままでかくすれば、スイフトスポーツになる。

そう、毛色は違えど似たような発想のスイスポには6MTがついている。NAでありながらも1600ccのハイオク高圧縮。同程度の排気量であれば、高回転時にパワーを上げる要素になりうる。でも、マニア的には純粋な速さを求めるというよりは町のりでも楽しい車じゃないだろうか。その発想をなんで活かせなかったかな?

せっかくターボつき64PSで670kgまで軽くしたのに3ペダルの選択肢をなくしたのはすごくもったいない気がする。最近の軽にしては真面目に作ったなぁと思ったんだけどこの一点でだいぶ評価が変わると思うよ。

ポテンシャルはすばらしいから、あとは5MTの設定の後付けを期待したい。