カタログ燃費向けのギア比設定がクソな理由
カタログ燃費向けのギア比はすごく使いづらいとの話が出ている。
おおまかにいうと1~3速がものすごく離れており、4~6速がやたらに近いギア比のことをいう。
このニコ動をあげた人の言葉を借り、「1~3ワイド、4~6クロス」のギア比のことを「アルテパターン」というようにする。ギア比を語るのに、ものすごく便利すぎる言葉だからだ。
もともとはトヨタ アルテッツアの6速MTのギア比設定がひどい!ということから名づけられたものらしい。オーナーによれば、5はいらないみたいな状態だったとか。
それはともかく、アルテパターンの車を見つけた。
今回はトヨタ iQの1.3Lとマツダ デミオ xD(ディーゼル 6MT)が典型的なパターンとして例に挙げやすいのでそれを分かって買う人は注意願いたい。
流石に2つ書くと、くどいので今回はiQに絞って書く。
まず、トヨタのiQのギア比や純正タイヤサイズ、速度から回転数を作るソフトをエクセルで自作してグラフ化した結果がこれだ。
なんすか、これ。IQが低いってレベルじゃねえぞ。
実用上何がおかしいかっていうのを証明してみよう。
変速感覚は、排気量を考慮し自分が乗っているMT軽乗用車と似たような感覚でやることにする。
まず、1速。メーターを見るとiQの回転数レッドゾーンは6500rpm(グラフは7000まであるけど)になっている。そこまで回すと時速60km弱出ます。
まず、iQは1300ccかつ車重が950kgなので、1速はこのハイギアードでも発進できるんでしょうね。ここらへんはある意味すごいんだと思う。
だけど、2速はおかしいよ!こんなの渋滞で死ねといっているようなもんじゃないか!
通常、乗用車の1速は2000~3000rpmくらいで2速に変速することが多い 。それをふまえて考えると、iQの1速ではだいたい20キロくらいまで引っ張ることになる。
さすがにこれ以上ハイギアードにすると発進が困難になるだろうから適正なギア比だとは思う。でも、2速にするとそれが1200rpmにまで下がるんですよ!?
アイドリングに毛が生えたくらいで加速しろってか!? 冗談でしょ。
せめてさ、燃費系MTなら1500rpmくらいは維持してくれないともたついて危ないんですよ。ここまでハイギアード化すると逆に燃費悪くなるんじゃないの?
1.3Lのエンジンで1200rpmのトルクってまともに取れる気がしないんだよね。
要するに、流れに乗るためには2速1500rpmを保つために1速を25キロ(2850rpm)まで引っ張る必要がある。渋滞や駐車場では1速で煩くても我慢しようね。
それか、空いている駐車場なら2速でトルクが薄い状態でダラダラ走るかのどっちか。
1速3000rpmならまぁ、ちょっと煩いくらいでなんとかなるかな。
ここらへんはまだ調整が利くからまだいいですよ。
それで、4速で40キロ巡航するために2速で30キロまで引っ張ろうかということになる。そうすると、2速・30キロの時点では1850rpm。う~・・加速するにはちょっと回転数足りないね。そのまま3速・30キロだと1200回転・・きつい。
低速トルクが強いエンジンだろうから、そのまま引っ張って4速・40キロにしてみる。1300回転になりました。低すぎるわ!
あきません。こんなのあきませんよ! 自分ならうるさいこと承知で即3速に戻す!
40キロのところで3速に戻しても1700回転ちょっと。
加速とかそういうことを考えるとここらへんで妥協するしかない。下道では事実上の3速MTです、これ。昔のMTコラムシフトクラウンじゃねえんだぞ・・・
要するに、iQの4速は中途半端な田舎道の40キロ制限では使えない!
どっちかというと3速までが町乗り、4速以降が高速ギアみたいな感じ。
ただ、その町乗りギアはレンジが広すぎてものすごく乗りにくくなってる。
いっそのこと、混み気味の道は2速固定でいいんじゃないかな。
平地だけならまだいいよ?坂道の上りとか下りとかどうするんすか?
計算してみると2速はレッドゾーンで最高105キロくらいまで対応できてしまうらしい。どれだけ伸びるんですか・・・
時速60キロで坂を上る(下る)とき 2速:3700rpm 3速:2600rpm
無駄にハイギアードな設定が効いているのか、山道でも4000rpmを超えることはなさそうだ。
ただし、これで急な山道のカーブでギアを落とすのは怖い。ギア比が遠すぎてクラッチに悪そうな感じがすっごくするんだよ。ブリッピングができないと危ないね。
エンジンブレーキの効きはどうなんだろう・・・
むしろ、4速ってどの速度から使えるんだろうか?ということを考えると60キロで2000回転弱。ここらへんから使えそうなイメージ。
バイパス以上の広い道じゃないといけないわけだ。80キロでも2600回転ちょっと。100キロで3300回転くらいか。ちょっとうるさいけど、4速でも十分運用は可能だよねこれ!?
オーバートップの5速はどうでしょう。80キロで2200回転。100キロで2800回転。1300ccならもう、これで十分じゃないの?
もうね、6速とか80キロ以上じゃないとまともに使えるギア比じゃないからそんな無茶な設定なんかするな!
どうしてももっと100キロ時の回転落としたくて・・・で6速入れたら2400回転弱?オートマみたいなのを目指しているのか、これ。
だったらさ、5と6を離して運用すればよくね?それで、2と3はいくらなんでももう少し低速に振ろうか。そうすると3と4が遠くなるから4速もちょっと3速側に動かす。
そうすると、4と5と6を離して高速での静粛性や燃費を確保することってできるんじゃないの?
ってこれは「1~3クロス、4~6ワイド」みたいなことになるからさっきのコンセプトとはまったく逆なんだよね。カタログ燃費の設定どうなってるのって言いたくなるわ。
ちょっと、さっきの説明をそのまま活用して自分なりにギア比をいじって乗りやすそうなセッティングを作ってみた。
変更点は以下のとおりです。
なお、1速ギア(3.538)、ファイナルギア(3.736)、タイヤサイズ(175/60R16)はいじっていません。純粋に2速~6速をいじっただけです。 {表記:純正⇒自作}
2速 1.913⇒2.031
3速 1.310⇒1.420
4速 1.029⇒1.120
5速 0.875⇒0.872
6速 0.743⇒0.720
実際はこんな組み方ができるのかどうかは分からないがこういうギア比なら少しは運転しやすくなるんじゃないかな。4速までをちょっと低めに設定して、5と6をオーバードライブの巡航用に設定した。
そして、6速は純正より100キロ巡航の回転数を低くした。広いバイパスくらいだと使いにくいかもしれない。
乗用車なので、静粛性側に振り2速と3速はあえてちょっと離してあります。(それでもさすがに純正よりは縮めたつもり)
iQの1~3速と似たようなセッティングしているのはタクシーで使われているコラムシフトMTのクラウンとかがそうなんですよ。あれならワイドレシオにする合理性はある。
なぜかというと、当時のコラムシフトは4速(正確には3速+OD)の設定が主流だった。乗用車としての高速静粛性を達成するためにはどうしてもギアを高速側にふる必要性があったわけです。
1速は低速にせざるをえないからそれぞれのギアを遠くすれば高速側に設定ができる。
後で5速グレードが出たんだろうけど、4速や3速のものがボコボコでていた時代では一般的ではなかったんだと思う。
じゃあ、いまiQで6速が出ました。要するに、ギアはたくさん選べるってことだから技術的に考える余地はいっぱいあるわけね。
そうすると低速で変速が忙しくなりがちな1~3をコラムMTクラウンみたいにワイドに振るメリットはたいしてない。どうしても高速を強くしたい!というなら4~6で調節すればいいのに、それをしないのはカタログ燃費重視のために無茶なことをやらされているとしか思えないんですよ。
要するに、言い方悪いけどお偉いさんの自己満足でこういうことやってることになるの。
ここを見ている方にはMT車に興味がある人が多いかと思いますが、できるかどうかは別にしてギア比の設定としてはどっちのほうがいいですか?
もし、理由もあるならそれもプラスしていただけるとわかりやすいです。
では、投票(?)や理由はコメント欄やはてなブックマークなどでどうぞ。