ADHD当事者が持つ頭の中のノイズについて
この記事を読む前の注意
いきなりで申し訳ないけど、おそらくこの記事は定型発達者の感覚では意味がつかみにくいと思います。すいませんが、ご了承ください。定型発達者でも小学低学年くらいの落ち着きのない少年なら理解できる要素があるかもしれない。
あと、これは学術的な論文ではないため「こんなのは論理的じゃないし、断定表現がなさすぎて無茶苦茶だ!」なんていわれても対応なんてしませんよ。あくまで、感覚での話だから、こうやって説明するしかないんですよ。
読んでいると疲れる可能性があるんで、訳が分からなくなったら無理しないで戻ってくださいね。
昔の記事を参考にしてみる
昔の記事を引っ張り出して、少し引用しましょうか。
前頭葉の整理機能に割と問題があるため、頭の中はいろいろなノイズが非常に多い。だから、何を考えているかを説明するには物事が多すぎてごちゃごちゃになっている。
部屋で例えるなら、ゴミ屋敷の中にある物品を全部答えるというような無茶ぶりに近い。というか、不可能だ。
頭の中がザワザワするという感覚が一番端的に示している言葉になる。もちろん、このなかのザワザワを言語化するのは非常に困難だ。おそらく、行動的な多動タイプの人がドタバタしているように見えるのは頭の中のザワザワを独特に具体化して作られたタスクを全部やろうとしている可能性は十分にある。
この説明では明らかに不十分だ。昨日、いろいろTwitterでしゃべっていたらある程度まとまってきたような気がするので文章にして説明してみよう。
ノイズの正体をつきとめよう
当事者のみなさんは、「この頭の中でグチャグチャしているノイズの正体って何ですか?」ということにすごく関心があるんじゃないかと思うんですよ。
一般的に「頭の多動」とか「脳内のノイズ」とかという言葉で言い表されるこの独特の現象だ。
個人的な意見で申し訳ないのだが、これは前頭葉が処理しきれなくなってしまった情報の残渣ではないかと思う。
なぜなら、余裕のある状態なら脳内のノイズがほとんどない。年齢が上がっていくにしたがって前頭葉が発達することで処理できる情報量が増えている気がする。
ただし、これは前頭葉特有の短期記憶力だけの問題ではなく「総合的な脳の体力」として考えてもらったほうがいいと思う。短期記憶のIQが抜群に高いアスペルガー当事者の社会不適応から考えるとどう考えても合点がいかないことが多すぎる。
恐らく小さい頃は世界がグチャグチャすぎて集中以前の問題ではなかっただろうか。
知能にバラつきはあるものの、根本的な知的障害があるわけではないので物事を理解できないとかそういう問題ではないが、明らかにノイズのせいでその理解や適切な行動や判断を阻害されているような感覚があった。
ただ、この脳内多動は調子がいいときだと独特の発想力につながったりするので必ずしも悪いものではない。
当事者の方(もしくは感覚がわかる方)はどうですか?もし、そうだというなら意見をください。
変なミスをする人はノイズ処理に問題あり
定型発達の方も読んでいるかもしれないので、そっち向きの話題もひとつ。
失敗のメカニズムとして一番わかりやすいのはPCのメモリに近いものだ。やたらソフトを起動すればPCの動きは遅くなるし、相性などの問題からエラーの起こる確率も高くなる。
ADHD当事者の場合、頭の多動が脳の思考の割合の半分以上を占めていると本来のポテンシャル以下になる傾向にある。言い換えれば、仮性の知的障害のような状況を作り出してしまっている。
脳内ノイズの阻害に打ち勝つための対処法みたいなものをうまくつけられず、本来のポテンシャルのだいたい30~40%くらいは余裕でダウンさせられた余裕のない状態で仕事に赴かざるを得ない当事者がたくさんいるのだ。
結果として、周りにいる定型発達者が「なんでこの人はこんなに仕事ができないの?他の人はこんなことやらかさないぜよ!」となってしまうわけだ。
この関係の話でなかなか秀逸なツイートをもらったので、活用させていただこう。
経験上、あれって緊張すると増える。まじめにやらないといけないと思うほど増える。子どもの時などはアレが押さえつけられないまま失敗したり、失敗以前の奇行に走ったり、行動には出ないけど、思考がそっち側に引きずられたりして失敗したりはあった https://t.co/N6BDV1ej9Q
— 三沢文也a.k.a.青二才 (@tm2501) 2015年5月26日
先ほどの話からつなげていくと、これはとても正しいことを言っているんだよな。
知能で苦手をカバーするのは負担がでかい
発達障害が「IQ高い!」とかって方向に話が持っていかれることが多いけど、それって脳の補償機能がほかの部位を底上げしているからなんですよ。
ただ、過大評価してしまうと「アスペルガーは全員天才だ!!」というぶっとんだ話になってしまうわけね。
ごめんなさい、ちょっと脱線しました。
周りからのプレッシャーでやられる
前頭葉が弱くなった部分の補償機能で底上げされた部分の知能でいろんなことをカバーしようとすると、若干無理が出てくるところってあるわけさ。
ほかのところに無理をかけて運用している分、緊張度が上がる状態になっている。
テストで言えば、総合点で帳尻合わす為に苦手科目の点数が低い状態を得意科目で高い点数とってなんとかしなくちゃいけない状態。
この緊張度の関係の話は、自分なんかが説明するよりも宇野ゆうかさんが5年前に書いている秀逸な記事を参考にしてもらったほうがよい。
参考記事
プレッシャーだけかけてもいい結果は生まれない
短期記憶が少ないのを長期記憶のよさでカバーする人なんか典型的なんだけど、そういう人って「頭はいいけど天然」みたいな評価をされる。長期記憶というのは何回も繰り返したりして深い理解が必要だから強く入れ込むためにはすごく時間がかかるからだ。
瞬間的な判断がほしいところだと、この特性をカバーするための補償的な要素ってなかなかない。要するに、カバーの限界を超えちゃっている。
大器晩成と考えて育成を待てる場所ならこのタイプはすごく強いけど、今のご時勢はそうじゃないところが多いからだいたいの当事者はコツを分かっていない無茶な過集中に頼る羽目になる。
ピントのずれた過集中ほど危険なものはない。効率が悪いし、わけも分からずに脳がフル回転している状態を続けているわけだから負担が大きい。自転車でいうなら、タイヤに紐が絡んでいて無理やり進もうとしてスポークを折るような感じに近い。
過集中はADHDにとっては脳みそにブーストやターボのようなものだと考えてくれればいいが、それがMAXの圧力でかかっていることを一般的に言う。
(見ている限りだと定型発達の人は発達障害当事者より排気量が大きめに設定された、安定したノンターボエンジンのような気がする。)
あまりにも負担がかかるので、MAXの過集中は虚脱状態になるのが弱点だ。多用を前提で考えちゃいけない。ADHDの社会適応は過集中を使うのは非常時のみの前提としておかないと心も体も壊れます。
特に、脳内ノイズがひどいときにブーストをかけると地獄を見ますよ。
適切な指導方法、環境の良し悪し、分野の好き嫌い、人間関係とかもあるから、一概に本人の努力だけでどうにもなるものじゃないっていうのがまたきついんだよね。
それがうまく組み合わされば仕事とかもいいんだろうけど、重要なところで外れてしまうと壊滅的な状態になる。
成功するADHDって何が違うんだろうか
社会適応できているADHDの人はノイズを安定状態下でコントロールできているんだよなと思う。なんというか、はてなで有名な有村悠さんは昔の話(ukdataさんのブログの記事の内容)を聞いているとどう考えても脳内多動がすごくて認識がグチャグチャだったんじゃないかなと感じた。
(自分は彼がガチなADHD当事者かどうかは知らないよ!)
今のTwitterを見ていると、だいぶコントロールできている印象を受ける。中退をしてしまったものの、東大に受かるだけの頭脳明晰なベースの側面が結構出ていると思う。
ただ、コントロールは人によって違うのでこればかりは糸口を見つけてもらうしかないんだろうな。