MT車、渋滞はこうしてクリアせよ!
【MT車って渋滞で大変じゃない?】
まず、MT車を選ぶうえで悩んでいるのはこの質問だと思うのでピックアップしました。
自分なりの結論から言えば、「きつい上り坂の渋滞はきついけど、それ以外はなんとかなる」というのが答えです。では、どうすればもう少し渋滞を楽に乗り越えられるか?という話を進めていきたいと思います。
なお、これは強化クラッチなどではなくあくまでノーマルのMT車を前提としてお話をしています。また、エアコンをあきらかに通常用途外で利用しているためそのあたりもご理解の上お進みください。
【アイドリングだけの力で車は動かせる】
車間を空けぎみにして1速でクラッチをつなぎます。そのままアクセルもブレーキもクラッチも踏まないでください。「アクセル踏まないとエンストするんじゃないの?」という声が上がりますが、しません。
自分はこのペダルを一切踏まないでアイドリングだけで進ませることを「クリープもどき」と勝手に命名しています。
原理としてはエンジンが回っていて、その動力がクラッチを通して車輪に伝わります。
車が動くためには車輪を動かすだけの最低限のトルクがあればいいんです。
そして、1速ギアは一番ギア比が低いため車のタイヤを動かすトルクが低回転領域でも出せる。
ウソだろ?と思うならば、広くて誰もいない道で5速ギアでアイドリングで走ってみてください。もちろんいきなり5速は無理なので1速から順にあげ、時速20km程度(軽トラなら時速10キロくらい)で超スピード変速でギアをいれてクラッチを離してみましょう。そのあと、絶対にアクセルを踏まずアイドリングまで回転が落ちるのを待ちます。
そうすると車のギア比にもよりますが、1速ではアイドリングでクラッチを離してもエンストしない車が5速のアイドリングではガタガタいいながらエンジン回転数が落ち最終的にはエンストします。これがギアから発生するトルクの違いです。
そのため、ひどい渋滞(時速10キロ以下)はうるさくても無理やり1速で走ったほうが楽です。アクセルを離した際、低いギアではエンジンブレーキが強くかかりますが、それアクセルワークをしっかり学ぶことで対策できます。
また、最近はオートマ車が多いため追突防止のためにも停止・強い減速時のブレーキランプは点灯させておくのが良いです。
そしてだいたい20キロくらいまで渋滞のスピードが上がるようになってから2速に入れるとつらい渋滞がだいぶ楽になると思います。
なお、スープラのようにトルクがすごくありクラッチも重い車の場合はアイドリングの進むスピードをが速いことを考慮しながらそのタイミングを遅らせるようにすればいいのではないかと思います。
【応用編:坂道の上り】
「坂道の上りの渋滞」は少し難易度が上がります。
この場合は平地よりもわざと車間を取ります。なぜかというと、上り坂の上がり分が抵抗となってアイドリングのトルクではエンストもしくはエンジンに負担がかかるレベルの低回転で進むことになるため、進み過ぎない程度に弱くアクセルを踏む必要があるからです。アクセルを弱く踏んでいる状態はアイドリングよりも細かい調整がききにくいです。
【エアコンは冷暖房以外にも使える】
クラッチをつないだ後、アクセルを踏まないで坂道を登りたい場合は裏ワザとしてエアコンを使うという手があります。平地でやるとアイドリングが上がってクリープもどき状態の速度が上がってしまいますが、坂道ではのぼりの抵抗でトントンとなるためちょうどいい感じになります。逆に言えば、平地でゆっくりクリープもどきをやりたい場合はエアコンをOFFにする必要があります。エアコンがないと死ぬ可能性の高い夏場は車間を多めにとるのがおすすめです。
ただし、発進時は負担がかかるのでクラッチをつないでからONにすると楽です。
エアコンは冷暖房だけでなく、アイドリングを調整して速度調整にも使えるなにげに便利なアイテムだったりします。なお、同乗者に変人扱いされても責任は取りません。
あと、ボロい軽自動車のノンターボ限定ですが、力がなさすぎることを利用して1速のクリープもどきの状態でエアコンを使うことで負荷がかかりオートマのクリープよりゆっくりなスピードで巡行できます。
この状態は一切ブレーキを踏まなくてもものすごくゆっくり走るので車間を少し開けていてうまくいけば一切止まらずに行くことも可能です。使い方はいびつですが、トラックの排気ブレーキのイメージです。ただし、このクラスのポンコツでは上り坂のエアコンは即失速するのでおすすめはしません、ガタガタいって遅いだけです。
アイドリングは上がりますが、それ以上に持っていかれるパワーが多すぎることが原因です。
【トルコンはすごいパワー】
AT車が楽というのは、トルクコンバーターの構造上勝手に起こってしまうクリープ現象をうまく使っているんだなって気がする。ただ、その構造はやたら車間を詰めるためにあるものではない。やたら車間詰めてブレーキを短い間隔でパカパカやる人がいるが、それだけトルクがあるから抑えなくてはいけないということだ。
あれを目の前でやられると車間がやたら狭まり、不要な変速やブレーキ操作を強いられる。オートマですらクリープを使っていたのに急に前が詰まるのは結構やりにくいものがある。
とくに友人の父親がレクサスLS460に乗っているが、この排気量クラスになるとクリープがめちゃくちゃ強いという話を聞いているため結構な頻度でブレーキを踏まないといけないらしい。
【トルコンは便利。車間は取ろう】
逆に言えば、クリープの弱い車種は坂道発進で落ちる可能性だってあるわけだ。実際、家の1800ccティーダもかなり急坂のところでは落ちた経験がある。
トルク増幅効果を利用することでクラッチを踏まなくても進めるのは大きな進歩だ。流体を使ったクラッチは直接金属板をつなげるよりは滑らかになる。ただし、楽チンの意味を勘違いするとそれは大きな凶器となる。
そのため、オートマやマニュアルにかかわらず、渋滞時は意識してある程度車間を取っておかないと坂道発進で落ちたり追突された時の被害だって大きくなる。
特に渋滞時は同じ風景が続き、周りの車の注意力も落ちやすい傾向にある。また、車間が短いということはそれだけ危機回避における時間も短いし、対応も難しくなる。
そのことを頭の中に入れて、渋滞を進むことを心がけていった方がよいのではないかと自分は思った次第です。