発達障害者に作業所の仕事を与えても問題は解決しない
デイケアに作業所に就労移行支援施設。支援者や医師は通った方がいいというけど果たして本当の意味でこれらが発達障害当事者のため、利益になっているのかは微妙なところね。確かにいくつかのメリットはあるのでしょうけど、それを上回るほどのデメリットも多い気がするは気のせいかしら。
— 発達障害者の背中を支える妹bot (@isam3lbot) March 2, 2015
題名からなんとなく分かる方も多いのだろうけど、自分の意見としてはデメリットのほうが多いということを言っておきたい。
まったくやらずにひきこもりのままというよりはマシという考え方もあるだろうが、それならばもう少し他の方面で復帰を考えたほうがいいと思う。
★じゃあ、メリットってなぁに?
1.引きこもり状態であり、完全に孤立しているならば社会に出るきっかけになりうる
2.収入がゼロよりはマシ(マシという程度でメリットというには程遠い)
個人的に考えるメリットはこのくらいしかないと思う。3番を作って「社会適応力が上がるんじゃないの?」と思ったのだけど、就労としての形が一般的なものの感覚としてちょっと違う気がするのでこれをメリットというには微妙すぎるところなのだ。
給料をもらえるなら安くったって働かなくちゃ!っていう人がいると思う。それはダメだ。なぜなら、そういった福祉就労の場は障害者年金をもらえる前提での給料体系だからだ。
ちょっとこれを見てほしい。
このブログの著者のわいひらさんは事故で頚椎を損傷し、首と肘以外動かなくなってしまっている重度身体障害者の方です。
最初の文章ですらちょっとばかりやばそうな雰囲気がする。
どれどれ・・・と思ってみてみると
働き始めて1ヶ月、初めて給料をもらう日が来ました。
「一日大体4時間働いて、週2回の勤務。勤務時間は少ないけど、時給500円で考えても、500円×4時間×8回で1万6000円だぜ。ぐへへ」なんて思っていたら、給料(工賃というらしい)は何と驚きの安さ2000円未満でした。たとえ2000円だったとしても時給にして62.5円です。「うわっ…私の給料…低すぎ…?」なんてもんじゃないですよ。
と、話はそこで終わらず、ここから昼食代と車での送迎代が差し引かれます。
昼食代は一日500円。送迎代も1往復500円だったと思います。
さてそこで、先程の給料から、これらの費用を聞くと月の収入は、マイナス6000円ぐらいでした。昼食は、食べさしてもらっているんだからいいとして、それを差し引いてもマイナス2000円オーバーです。交通費の分だけ損をします。
働いて、お金を入得るつもりで行ってたはずなんですが、働けば働くほどマイナスになるという不思議な状態に…。
「月給-6000円…。」その後、かなりモチベーションが下がったのは言うまでもありません。
もはや、稼ぐところか、働いたせいで貧乏になっていくという意味不明な状況になっているんですよ。まぁ、そもそも扱いが賃金ではなく工賃ということになっているため労働基準法というものが使えない。これは社会復帰という概念のもと行われているものなので普通の労働とはぜんぜん質が違うものだ。
だから、うまく働けなくてニートになってしまった発達障害の人を安易に作業所に入れればいい!なんていう人はこういうことを頭の中に入れておいてね!
当事者に収入を稼いでほしいって理由だけならゆるい自営のやり方or 通常はいちいち言語化しない世間での立ち回り方を教えたほうがいい。
二次障害などで精神障害2級、3級を持っている方はまた話が違ってくるのだが、今回の話題では関係ないので割愛。
★デメリットをまとめてみた
1.作業所の給料ではとても生活できない(それどころか、マイナス!)
2.本来、福祉就労を望んでいた人たちの雇用を奪うことになる
3.もともと生かせそうな能力を最初から見ようとしなくなること
4.そもそも、発達障害向けの対策がされていない
何が問題なのかっていえば特に3番の問題だ。発達障害のせいで仕事できねえなら、給料の安い単純作業でもやらせておけばいいという風潮がどこかにあったりする。
単純作業うんぬんはだいたい一般の人の認識であり、発達障害の人の感覚では「なんで難しいことやってきているくせにこんな簡単なこともできないの?」と上司にブチキレられることもしばしば。
要するに、彼らは得意不得意がここまでバラついているっていう感覚をまったく分かっていないわけ。たとえば、設計とか営業の適性などは発達障害者に限らず一般の人々にもあるとは思う。
だけど、発達障害のできない分野っていうのはそういうレベルの話を超えているんですよ。得意分野は博士や天才と言われるほどだけど、苦手分野は結構長くやっているにも関わらず、覚えなくてバイト初体験の高校生のほうができちゃうパターンなんていくらでもあるんですよ。
たぶん、発達障害の人が割と苦手な分野だとされる飲食・接客関係のバイトでそういった人を見た人は結構いると思う。ただ、発達障害の概念を知らない人が多いから「できない人・甘えている」という認識で終わることがほとんどだったりする。どれだけ日本の認識度低いんだよって話。
もうひとつ、引用を持ってきましょう。
福祉就労と一般就労 どちらにも行き場がない発達障害の当事者さんたち ~発達障害就労制度の必要性|育児パパのあったか・やさしい発達障害談義
前半部分は大雑把ではあるものの、ここで同じことを言っているので割愛。
【「発達障害就労」の必要性】
こうした行き場のない現状を考えるときに、
発達障害向けに、一般就労と障害者就労の中間的な職場が必要だと感じます。
発達障害の方は、知的には問題が無く、
中には専門職に得意を持つ方もいらっしゃいます。
ただ、臨機応変な状況判断や、柔軟な顧客対応などを求められると、
とたんに混乱し、出来ることまで出来なくなる特性があるようです。
一方で、苦手をカバーしたり、苦手を避けた仕事であれば、
高い能力を示せる当事者さんを、
社会が生かすことが大切だと、僕は考えるのです。
結局、就労できない発達障害を放っておいても社会的コストばかりが上がる。
苦手をカバーするのが嫌!とか言っている間にどんどん職場のプレッシャーによる傷病者が増えていく世の中を肯定しているようじゃまずいんですよ。
ブログ著者のNKさんは支援者として発達障害者に接しており、割と客観的な立場でものごとを見られている。教育なんとかコンサルタントみたいな人の意見よりも頼りになる。
僕が思うに、高機能群の当事者さんは、
まったく仕事のできない人たちではありません。
一般の人と同じように、自分で仕事の優先順位をつけさせたり、
多面的でマルチな仕事を要求したり、突発的だったり、柔軟な対応を要する仕事を
指示なくさせるから無理をきたすわけです。
また、専門職に向いている当事者さんに、
ちょっと職場でうまくいっているからといって、
部下をつけて面倒を見させようとすることから、
破綻が始まるケースもあります。
聞きましたかね、企業の皆さん。適材適所ってこういうこと言うんですよ。
結局、不適応起こして職場がパニック・疲弊になることが一番まずいんだよね。
とにかくこの仕事をできるようにしてもらわないといけない!という一種の強迫観念があるんじゃないかなって思うときがあるんだ。そうじゃなければ迷惑だから社会に出てくるなと言わんばかりの勢い。そして、ニートになったら「働け」とプレッシャーがかかる。
なんだよ、要するに他のところに押し付けたいみたいな感じじゃないか。
社会全体のコストより、社内全体のコストを優先することで結局全体としてマイナスになっちゃうんだよなーと思うこのごろです。
最近は社会の構造上、発達障害として認識される当事者の人口比があがっているんだから余計対策しなきゃいけなくなることくらい分かるだろうに。今、仕事ができていて健常者としての扱いだとしても突然基準が変わって、いつ発達障害として認識されてもおかしくないと思う。
生活できないレベルの人たち増やしておいて何がグローバル化だ!