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自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

ピーターの法則で考えてみる

ピーターの法則(ピーターのほうそく、英: Peter Principle)とは組織構成員の労働に関する社会学の法則。

1. 能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。すると有能な平(ひら)構成員も無能な中間管理職になる。
2.時が経つにつれて人間はみな出世していく。無能な平構成員はそのまま平構成員の地位に落ち着き、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある、無能レベルに達していない人間によって遂行される。


兵隊(平社員)として有能でなくても、指揮官(管理職)では力を発揮することがあるかもしれない。
逆にいうなら、兵隊(平社員)として有能でも、指揮官(管理職)ではウンコのやつもいるわけだ。

後者のケースが結構あることが多いのでそれについて考えよう。
前者のケースっていうのは、ただ仕事ができないとしてみなされることが多いのでまた除外して考えたほうがいいかもしれない。出世する前に諦められる。3番のケースにも入って来る。

無能管理職の地位、すなわち、兵隊向きの人がついてしまった。
だけど、兵隊の任務ができない人は管理職につけないジレンマにぶつかってしまうわけだ。

それはともかくこの法則をうまく使っている企業がある。島津製作所と未来工業だ。
島津製作所田中耕一氏は、入社後ずっと研究を現場で続けており、ノーベル賞を2つもらっている大変素晴らしい科学者だ。
本来、島津製作所で出世するには営業や経理などいろんな部署を回る必要があるのだが、彼は例外的に現場から出ずに待遇を上げてもらっている。
現場が好きでスペシャリストとして向いている人には、それなりの昇給などしっかりと待遇に答えてあげる必要がある。彼こそ、ピーターの法則でいうなら「有能な平構成員」になるが、「無能な管理者」として潰されるのではなく、「現場のスペシャリスト」として扱うことで、有能な状態を保ち続けることができているのだ。

もうひとつの例、未来工業では、営業職の話をしよう。
吉田という営業部長がいた。だけど、彼自身は売り込むのはうまいんだけど、売り込み方を部下に教えるのはさほど上手ではなかった。本来、管理職は部下に教えたり、うまく行くように采配するのが仕事だ。
そう、このまま管理職では「無能」の烙印を押されてしまう。そこで、社長の山田昭男氏はこう彼に告げた。
「お前、本社に戻ってこい。そこにヨシダ営業所を作ってやろう。」
普通ならば、無能として降格されるのだが、部下なし部長として待遇はそのまま。自分は営業の戦士として売上に貢献できる。
そう、常識にとらわれていると同じ事やってる会社なら確実に規模がでかい会社が有利だ。
だいたい、スーパー社員っていうのはそうそういないので、それぞれの特徴を活かせるには適材適所の考えが必要になってくる。

だから、実務ダメなやつは「ゴミ野郎」として扱うんじゃなくて「アイデアマン」としてまずは発想を出させる。
イデアを考えることに特化している人はたぶん、実務を淡々とこなすことは嫌いなタイプが多い。
え?アイデアは出したけど、むちゃくちゃだって? いや、組織ってチームでやるでしょ?
だから「その一見メチャクチャなアイデアをまとめる補佐」をつけてあげる。
負担がこいつばかりに来るじゃないかというあなた、アイデアも実務も一緒にやらせるのかい?
それこそ負担だよ。得意分野を活かせるようにするってこういうことではないかと思う。
なんというか、こういった補佐役向きの人を「仕事ができる」としてリーダーにさせたがる傾向が日本の会社にはあるんだけど、それはさっきのダメ組織を作ることになっちゃう。
「なんでこいつが・・・?」と思うかもしれない。もう一度言うと、実務ができる≠管理ができるということではない。
本当に能力を活かすのなら、形にこだわっていたら絶対に負けてしまう。
しかし、形にこだわるっていうのが割と日本式の伝統(?)なので、この考え方が浸透するのは時間がかかるかもしれない。だけど、いつかこうしないと人々の過労だけで持つ日本はなくなるんじゃないかと思う。