アメリカ人が日本のアニメ業界に入って感じた事に関する英語の記事を訳した
まず、元の英語記事をもってきますよ。
自分の英語読解力アップも含め、面白そうな記事だけど訳すのが面倒だなって人にも読んでもらおうということで今回の話をしたい。英文と日本語訳を両方出しておきますね。日本のアニメ業界の過酷さが外部の人間からも分かるはずだ。
ちなみに書いている著者は頭がつるつるな右の人です。(Henry Thurlow氏のこと)
Japan’s Animation Industry Isn’t Just Tough, It’s “Illegally Harsh” Says American Artist
日本のアニメ業界はつらいだけでなく、不法なレベルで過酷だとアメリカのアーティストが言っている
American animator Henry Thurlow moved to Tokyo to live out his dream of creating anime in the Japanese animation industry. It took him four years to become good enough to get hired at a studio. When he finally achieved his goal, he discovered work conditions that were nothing short of slave labor, with studios paying as low as $25 per week. Says Thurlow to Buzzfeed:
アメリカ人のアニメーターであるHenry Thurlow 氏は日本のアニメ業界でアニメを作るという夢をかなえるために東京へ引っ越した。彼はスタジオで十分な状態で雇用されるためには4年かかった。彼が最終的な目標を達成したとき、スタジオがだいたい週に25ドルくらいという低い給料を払っている奴隷としか言いようがない労働環境を目の当たりにした。
Thurlow氏からBuzzfeed(バイラルメディアのこと)への伝言:
(※この記事を書き始めた2015年3月12日時点で1$=121円のため、1週間でに3025円しかもらえないことになるのだ!最低賃金とか平気で割っている。)
さて、伝言を書いていこう。
“Let’s just be clear: It’s not a ‘tough’ industry… It’s an ‘illegally harsh’ industry. They don’t pay you even remotely minimum wage, they overwork you to the point where people are vomiting at work and having to go to the hospital for medicine. They demand that you come in whenever they realize a deadline isn’t going to be met. That probably means about a month and a half of nonstop work without a single day off. Then you will be allowed to go back to your regular six-day workweeks of 10-hour days. No one talks, or gets lunch together or anything. They just sit and work in complete silence and seem uninterested in changing this.”
とりあえず明らかにしていこう:
これは「つらい」産業ではない・・・。「不法なレベルで過酷」な産業なのだ。
アニメ業界は最低賃金に遠く及ばない賃金しか払わない。そして彼らはあなたを過剰に労働させて人々が仕事中に嘔吐し、薬のために病院へ通うようなところまでいってしまう。彼らはあなたが締め切りが近づいていないことに気づいたとしても(職場に)入ることを要求してくる。それは確実に1日の休みもなく、だいたい1ヶ月または半月休みなしの連続勤務を意味しているのである。それからあなたは6日あるいつもの労働時間のうち、1日あたり10時間だけ戻ることを許されるだろう。
誰もしゃべらず、一緒に昼食もとらず、何もしない。彼らはただ座り、そして完全な沈黙の中で働き続ける。彼らは変化するということに無関心なようにみえる。
Thurlow, whose credits at Japanese studios include Nakamura-Productions and Pierrot Studios, has ended up in the hospital three times due to exhaustion and illness. Amazingly, he still thinks the experience has been worth it because the anime projects he’s worked on in Japan have been more creatively satisfying than American productions:
中村プロダクションとスタジオぴえろに所属するThurlow氏は過労と病気のせいで3回入院するという結末になった。驚くべきことに、彼はいまだ経験は価値だと思っている。なぜなら彼が働いていた日本のアニメプロジェクトは創造的な面において、アメリカの製作会社よりも彼を満足させているからだ。
In a Reddit AMA that Thurlow did, he gave more details on the poor pay of anime studios:
Reddit AMA(英語ベースの オンラインコミュニティの「質問ある?」のコーナー) の中で、彼はアニメスタジオの少ない給料に関する詳細を教えてくれた。
The amount of money you earn from day to day changes … since it’s based on how many frame you draw. On Monday I might draw simple corrections on a whole bunch of frame (adding effects that were forgotten by other animators, or “Kii energy” or something like that) resulting in me being able to draw 40 drawings in one day and make over $150 depending on the series. Tuesday-Thursday however, I might have to do the trace-back and inbetweens for a super detailed shot from Tokyo Ghoul (which is really fun btw)…but results in me only drawing 5 frames per day each of those days ($12 a day or so). Each month at Pierrot I earn about $1000. Each month at my previous “slave-labor” studio, I earned about $300 a month.
あなたが1日ごとに貰える給料の額は・・・あなたがどのくらいの量のフレーム(コマ)を描いたかまでという基準に基づいている。
月曜日、私はほかのアニメーターによる「気のエネルギー」やそれに準ずる表現方法などの描き忘れを大量のフレームに対しすべて加筆修正しているだろう。結果として私の中では1日に40枚描くことが可能で、1クールを書き換えて150ドル(18150円)の生計を立てているだろう。
火曜日から木曜日、しかしながら私はトレースバック(トレースのための下書き)をしなくてはいけないだろう。そして、その合間に東京喰種(トーキョーグール)のより詳細なショットを書かなくてはいけないだろう。(ちなみに面白いです)
しかし、私の結果ではどの日も描けるのは1日に5フレームだけだけだ。
(1日に12ドル程度)
私が稼いだ額はスタジオぴえろでは月だいたい1000ドル(121000円)、さきほどの「奴隷スタジオ」では月に300ドル(36300円)だ。
(翻訳はここまで)
これを見る限り、到底生活できる水準ではないのは分かるだろうか。「バイトかっ!」というツッコミもさることながら、下手すれば病院送りになるというやばい現実がそこには見えていた。
やりがい搾取とはよく言ったものだとは思うが、外国の人もそこにはまっていってしまう構造がある。一生懸命仕事をするという感覚でやりがいというのはあるのだろうが、これでは給料のもらえないワーカーホリック状態だ。日本のアニメは結構面白いんだけど、その作っている人たちが血反吐を吐きながらやっている背景を見れば「作画がどうなんだ!?」とかいうのがあまりにもばかばかしくなってくる。