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自動車、発達障害などを扱うブログです。最近はQMAにはまっています。

高校レベルの化学知識を使って、水素水のサイトの説明を見てみることにしたよ

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/58/12/58_12_836/_pdf 

えっと、水素水ってご存知ですよね。

最近、スーパーで192円くらいで売ってる高い水。

あれ、本当に効果があるのかどうか?ということを高校レベルの化学知識を用いてツッコミを入れることにした。もしかしたら、教育指導要領を少し外れる可能性は無きにしも非ずですが、やっていこうと思う。

 

【ターゲットはこちら】

 

www.naruhodo-genki.com

 

マジメに突っ込みすぎると頭痛がしだすので、要点をまとめながらやっていこうと思う。

【pHの観点を使って見ていこう】

実は、水には下記のような物理的特性があることは一般的によく知られています。
 

水(H2O)は、還元される(電子e-を与えられる)と、水酸基イオン(OH-が生成されアルカリ性になるとともに、水素(H2も生成されて溶存水素量が増える。

 

電気分解とかで、水素が生成される。式そのものは間違っていない。

ただし、これはあくまで水酸化ナトリウムや食塩などの電解質を溶かした状態じゃないとほとんど効果ないんですよ。

普通の水をただ電気分解しても、出てくる水素なんて微々たる物ですよ。

 

なぜ、そうなるのかを説明していきます。

 

水のイオン積というのは、簡単に言えば水素イオン[H+]と水酸化物イオン[OH-]が掛け算の合計で10^-14mol含まれるよって話。(10のマイナス14)

※大雑把な説明:[H+]は酸性の強さ。[OH-]はアルカリ性の強さ。お互いにシーソーみたいになっているのでどっちかが強くなると片方は弱くなる仕組みになっています。

 

pHというのは、10のマイナス何乗に対数をとって0~14までの

数字にした指標なんです。

それを14-pHすれば、pOHというアルカリの強さとして見やすい数値にできるわけ。

pHが1なら、pOHは13。 pH+pOH=14ということさえ覚えて置けば、pH=7で中世の水はpH,pOHともに7+7=14 という配分になっているということだよね。

pHが分かれば、10に対してマイナスその数字を累乗すればいいので、水の中に溶けている[H+]はpH=7だから10^-7mol

本当は誤差あるんだけど、分子状態のものに比べて量が違いすぎるからそんなもの無視して問題ない。

ようするに、水の中に溶けているイオンって言うのは全体の0.0000001%でしかないわけ。そんなものにうちの製品はアルカリが多いだのなんてギャーギャーいっている時点でちゃんちゃらおかしいんですよ。

 

ということは、さっきの電気分解の式から見ると、ただの水を電気分解して出てくる水素の量はその半分なんだ。0.00000005%なんて、逆にどうやって残留させないか?みたいな指標で物事考えているのと同じレベル。

今。水素水で流行りのppm濃度に直したって1%=10000ppmだから0.0005ppmだ!

水道水の基準設定されている水銀およびその化合物の残留量とかのレベルを「含んでいますよ!」みたいにいうんじゃねえ!

 

なにが溶存水素量だ? もしできたとしても、水素は空気より軽いし、水に溶けにくいから大半がとんでっちゃうと思うんだけど。

活性水素?そんなレベルの水があったら、死んじゃうよ】

もうひとつ。ちょっととんでもないこと言ってるんですが、これでなんで博士号取れたのかよくわからないレベル。

常、水に電子(e-)を与える還元反応は、
2H2O + 2e- => 2OH- + H2
と表記され、生成される水素は水素分子になるというのが科学一般の常識です。
ところが、水の中に存在する一部のプラス水素イオンは、電子を与えられることによって、

H+ + e- => H [原子状水素 (活性水素)]
H+ + 2e- => H- [マイナス水素イオン (ハイドライド)]

水素原子(活性水素)   マイナス水素イオン(H-)


となり、原子状水素(活性水素マイナス水素イオン(H-などの反応性の高い活性状態のまま、電極から溶け出た金属ナノコロイド(コロイド状ミネラル)の表面に吸着される。あるいは、金属ナノコロイドの触媒作用によって、金属ナノコロイドの表面に付着した水素分子の結合力が弱められ水素そのものの反応性が高い活性状態となり、これらが分子状態の水素以上に強い還元力を示すというのが白畑教授の活性水素説です。

 

 

 

もう一回、高校化学からやりなおせバカヤロー!

あのですね、これは何を言っているのかというと教授の作った白金コロイド触媒を使えば常温・常圧で水素原子の共有結合が簡単に切れちゃうよ★ってことなんです。

どこにも加熱・加圧の条件がないからそう考えるしかないでしょ?

この説明だけ見れば「へぇ、そうなんだー」というならこれは簡単に終わるんだろうけど、こちとらそうはいかねえぜ。

原子状水素が作れるような水なんて、そもそも高エネルギーすぎて飲めないから!

ちゃんとやると高校の範囲を超えちゃうので、後半の補足を見てください。

それ以前に、マイナス水素イオンができる条件って相当な条件でしょ?

原子の酸化数がー1である水素のH-を「ヒドリド」という。これは電気陰性度が水素よりも低いアルカリ金属(Na、Kなど)と化合してできる場合のみ、例外的に+1の参加数を取らない。ようするに、Na+が安定しすぎて水素のほうが負けちゃうってわけ。

ほかの族の金属化合物と水素の反応でヒドリドができる場合はあるが、面倒くさくなるので今回は割愛する。

しかし、今回の水素水の話ではナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属という言葉は出てこない。

要するに、水素の電気陰性度より低い元素というのが見当たらないんですよ。

そうなると次に安定な状態を決めるものとしてイオン化エネルギーの指標となる。

優秀なまとめを見つけたのでここを使わせてもらおう。

note.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

第一イオン化エネルギー

第一イオン化エネルギーとは、電子1個を取り去ることで、気体状原子を1価の陽イオンにするときに必要なエネルギー のことです(定義)。
したがって、第一イオン化エネルギーが小さいほど、
1価の陽イオンになりやすいわけです。

 これは1族のH,Li,Na,K,Rb,Cs,Frがそれぞれ一番低い値をとる。言い方を変えれば、水溶液中では1価の陽イオンが安定しまくっていて最強って話。

 

水素をH-にするるためには電子親和力の欄を参照したほうがいい。


電子親和力

電子親和力とは、電子1個を与えることで、気体状原子を1価の陰イオンにするときに放出するエネルギー のことです(定義)。
したがって、電子親和力が大きい原子ほど1価の陰イオンになりやすい(なっていやすい)わけです。

 

 

水素の第一イオン化エネルギーと電子親和力を見て実際にどのくらいの差があるのかをみれば一目瞭然だ。

第一イオン化エネルギー:1312kJ/mol (1族としては結構大きい。)

電子親和力:72kJ/mol   (17族フッ素:328kJ/mol)

 

水素はやや特殊で、電子親和力は低くH-にはなりにくい。水素の持っている電子数が1つしかなく陰イオンになってしまうと電子がHeと同じ2つの希ガス配置になる。

K殻が閉殻になるのでその点から見れば安定はする。

しかし、電子親和力がそれほど高くないため+のほうが比較的ましな状態だからあえて電子を失って+状態になるのである。ちょっとややこしい子なんですよ。

金属原子とかならその状態に打ち勝つ場合があるので、そのときはH-の状態が優先されると思えばいい。

 

話が脱線したので戻ると水素水の場合は触媒の効果自体が怪しく、H-の条件になりうるきっかけがないので単純に安定な水素分子として空気中に逃げてしまうのがほとんどだ。

 

だいたい、無機触媒って基本的に高温になればなるほど触媒効果が強くなるものだから、そんな常温下で最大の効果を発揮するとは思えないんだけど・・・。

かつ、気体は溶かす上で水が高温になると溶解度が落ちる性質を持つので高温ほど活性が上がる触媒との相性は最悪

 

ということで、高校化学程度の知識を使った説明はここでおしまい。

活性水素なんて「出るわけない!」という理由は下の補足を見るときは覚悟してください。

 

 

 

【補足用:原子状水素】

ごめんなさい、ここだけ電子工学の領域になるのでご了承ください。

原子状水素の入った水がとんでもないものだということを説明するための領域です。

他分野の研究を見たらとてもじゃないが、原子状水素がそんなに簡単に作れるとは到底思えないからだ。

兵庫県立大学の論文を拝借させていただこう。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/58/12/58_12_836/_pdf

論文テーマは「加熱触媒体上で生成した原子状水素を用いたプラスチック基盤の表面処理」だ。

自分の専門はややバイオよりなので、電子工学の表面処理関係は強くない。でも、これを見ていると原子状水素を簡単に作るということがどれだけ馬鹿げているか。

お分かりだろうか。高温触媒を用いてすら、水素の共有結合をブチ切るのは簡単じゃない。原子状水素っていうのは不安定すぎて暴れ馬とかそういうレベルだ。

 

部分ごとの拝借をしながらやっていきましょう。

我々は密着性を向上させる新規表面処理法として、真空中で水素分子(H2)を加熱触媒体(1700℃程度)で分解することで生成した原子状水素の再結合反応で発生するエネルギー(4.5eV)を利用して、基盤の表面のみを高温熱処理する「原子状水素アニール(AHA)法」を提案している。

(中略)

これらの基盤を真空処理装置内にセットし、1×10^-4Paまで真空引きした後H2流量100sccm、触媒体温度1700℃、ガス圧30Pa、堆積ロール温度-20℃の条件で処理した。

なお、触媒はタングステンを使用しているようです。これは高温に対して非常に強いため、1700℃程度ではなんともなく固体の状態を維持できる。

真空を引かないと、水素が他の分子・原子と衝突しやすくなり本来の反応自体がうまくいかないためにやっている。

 

水素を1700℃まで上げて触媒を使用した上で原子状水素にやっとできるんですよ。

そんな低温・ましては常圧で反応できる触媒があったら、いまごろタングステンの触媒かつそんな大仰な装置なんて使ってないでしょ。

そもそも、1700℃なんて水の状態であることが無理だ!

もう、温度高すぎてなにが起こるかわからない状態じゃないですか?

飲むどうこうよりも、化学工場にある高圧蒸気(150℃)よりはるかにパワーがあるので普通に武器です。はい。ちなみに、普通の蒸気バルブで2気圧120℃くらいなんで、下手に触ると大やけどしますよ。